なお、この一件はNさんが母親に謝って済んだかに思えたが、これだけでは終わらなかった。母親は地域のママ友たちに、Nさんを完全な悪者に仕立て上げて話を広めてしまったのだ。 　古くからこの土地で暮らす住民は、Nさんの人柄を知っているので気にしなかったが、住み始めて日の浅い若い母親たちからはヤバい人として見られるようになったそうだ。 「さすがにこれはやりすぎでした。ただ、同じように思った人は多かったようで、悪評を流した母親の旦那さんにある住民の方が諫めるように話したそうです。その方によると、旦那さんはこの件をまったく聞いていたなかったらしく、事情を知ってNさんに謝罪。同行させられた母親はふてくされた態度で謝ったみたいですけど」 　この母親のようにキレる人は多くないと思うが、「今回の出来事を通じていろいろと考えさせられた」と加藤さん。 「こっちが善意のつもりでも、相手にとっては余計なお世話ってケースがあることを知りました。地域には年配の方も多く住んでおり、みんな親切ですけど、このトラブルが原因でご近所付き合いに水が差されないか心配です」 　昔なら近所に世話好きでお人好しのおじいさん、おばあさんは必ずいたが、そういう人にとって今は生きづらい世の中になりつつあるようだ。＜TEXT／トシタカマサ＞ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。