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令和の瞬間はバイト先の真っ暗な休憩室で…。40代アルバイト男性の悲哀

ゴールデンウィークはバイト10連勤の42歳

 5月3日、午後1時頃——。神奈川県横須賀市内の観光施設は、家族連れやカップルなどの観光客でごった返していた。海を臨む風光明媚なこの場所は、ゴールデンウィークだけでも万単位の人出があるため、様々なトラブルも起きる。お隣の三浦市出身、長谷川義彦さん(42歳・仮名)は、警備員として施設に立っていた。 警備員「高校卒業して就職先がなくて、ずっとバイトですよ。新聞配達、工場、キャバクラのボーイもやったけど、ここ3年くらいはコレ(警備員)。時給は950円だけど、立ってればいいだけだからラク。GWは休日手当でるから、時給は1250円。ゴールデンウィークの10日間、毎日出ればいい額いくでしょ。先々月なんか雨がすごくて現場流れちゃって、携帯代金払うのも苦労して、親に借りちゃいましたね」(長谷川さん)  楽しげな人々を見ていて、自分も遊びたい、休みたいという気持ちにはならないのか? 「人が休んでいるときに休むとさ、やることなくって気が沈むじゃん? こうして働いていると、仕事だからって割り切れる。友達からもね、負け組だっていわれるのよ。でもさ、俺みたいに実家に住んで、稼ぎがあるのはまだマシだよ。同じ現場にもうすぐ50歳のおっさんがいるけどさ、悲惨だよ。住んでるのは近くのボロアパートで家賃が月2万5000円。体が悪いからたくさん働けない。生活保護もらえばいいのにやせ我慢しちゃってね。バカだなって思うよ」(同上)  現在の40歳前後、いわゆる“就職氷河期世代”の非正規労働者、求職者にとってみれば、巷間で問題視されている「救済措置」なぞに興味はない。  多額のカネでも受け取れるのか、今一度ゆっくり学校にでも通わせてくれるのか、もしくは「年齢を10個でもいいから差し引いて」くれるのなら……。  彼らにとって、失った時間を悔やむ暇があるなら、今を生きるためにもがいたほうが良いというのは、当たり前であり止むを得ないことなのだ。<取材・文/山口準>
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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