YouTubeの「文字だけ動画」作成者を直撃。パクリでいくら儲けたの?
その正体は、そこらのサラリーマンの男(20代)だった。給与が安く、将来への不安から「不労所得を月に50万得る方法」などといったキャッチコピーで販売されていた情報商材をネットで購入したことがきっかけだという。
“1日数十分の作業で半永久的に収入が得られる”仕組み……。実際は、「まとめサイト」や「文字だけ動画」を作るという稚拙で馬鹿げたものだった。
普通に考えれば、この時点で騙されたことに気がつき、他社の著作権を侵害してまで小銭稼ぎをするなどという違法行為には至らないはずだ。しかし、こうしたインチキな情報商材を購入してしまう程度である。
購入した情報商材のマニュアルに書いてある通り、ネット上で話題になりそうな、すでになっている記事を見つけてはコピーして「文字だけ動画」をせっせとアップしていた。
――収入はあったのか?
「いえ……。再生数が少なすぎるのか、収益を確認するページをみても0円のままです。信じてください、見逃してください」
男は、筆者だけでなく、別のジャーナリストやライターの記事もパクって動画にしていた。あまりに気の毒で、全てを消すように諭し、男とのやりとりは終えた。
4月頃、こうしたマヌケな人々がアップした「文字だけ動画」をYouTubeが収益化を停止するように動いた。ネット上では歓喜の声が上がっている。
「まとめサイト」に関しても全く同様のことが言えるが、著作権違反はもちろん、フェイクニュースの温床にもなりうる。なにより、ユーザーが得たい情報にアクセスするときの障害になってしまう。知りたい情報を検索したときに、「文字だけ動画」や「まとめサイト」ばかりが上位に出てきては、本当に知りたい情報が埋もれてしまうからだ。
見たい動画を検索したが「文字だけ動画」が邪魔をして肝心の動画を探し出せない。そんな状況が起きていたからこそ「文字だけ動画」の駆除は、概ね歓迎されている。
一方で、独自の文字コンテンツを動画にしたものもある。記事や論文を検証したり、フリー素材やオリジナルの効果音や音声を使用した、プロ顔負けの「文字だけ動画」が停止されてしまった例もあるようだ。こうしたオリジナリティの高い「文字だけ動画」は守られるべきであるし、収益化されることで、より質の高いコンテンツをユーザーが生み出していくきっかけにもなる。
筆者としては、記事を丸パクリするアフィカスさえ消えてくれれば何よりである。<取材・文/山口準>新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
「文字だけ動画」の収益化が停止
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