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「もう東京のホテルには泊まれない」出張する会社員の悲鳴。空港ロビーやカーシェアに寝泊まり、野宿する人まで

 外国人観光客が急増し、ホテル不足が囁かれて久しい。こうしたなか、会社規定の宿泊費では泊まれない出張サラリーマンが急増中だ。なかには過酷な場所で寝泊まりを強いられるケースも少なくない。ホテル難民の実態についてリポート!
[東京ホテル難民]の惨状

政府は2024年の訪日外国人数が史上最多の3500万人になると予測

平日でも一泊3万円!? もう東京に出張できない

 インバウンドが盛り上がる中、日本各地のホテル代が高騰しているのは周知の通り。シティホテルが高すぎて泊まれない、そもそも空室がないことが常態化しているが、一方でビジネスホテルの高騰化も止まらない。  平日で3万円超えの部屋もザラにあり、出張者が東京で泊まれないという声がSNSでも相次いでいる。ホテル業界に詳しいトラベルジャーナリストの橋賀秀紀氏に現状を聞いてみた。 「東京ホテル会によると、加盟ホテル260軒の10月の客室稼働率は91.2%と非常に高くなっています。ADR(客室平均単価)は1万8965円で過去7年間の最高値を記録しました。コロナ前の’19年10月が1万2000円ほどだったので、5年で1.5倍以上になった計算です」  高くなった要因はインバウンドのほか、人件費や光熱費の上昇、さらにダイナミックプライシング(高い予測精度で需要に応じた細かい価格設定ができるシステム)の普及があると橋賀氏は指摘する。

宿泊者の半数をインバウンドが占め、稼働率も大幅に上昇

[東京ホテル難民]の惨状

東京のホテルの客室平均単価のグラフ(上)、東京の需要総客室数予測のグラフ(下)

 当のホテル関係者はどう感じているのだろうか。全国でアパホテルを展開するアパグループに聞いてみた。 「都内の場合は国内ビジネス約35%、国内レジャー約15%、インバウンドが約50%という割合です。’21年と比較すると稼働率は約45ポイント、宿泊料は約270ポイント、それぞれ上昇しています。こちらもコロナ禍が明け、宿泊需要が急回復したため、それに合わせて上昇している状況です」(アパグループ広報担当者)  東京一の歓楽街・新宿にある大規模なビジネスホテルの関係者もこう述べる。 「コロナ前まで利用客の80〜90%がビジネスマンでしたが、コロナが明けるとインバウンドの観光客で満室に。外国人は10日くらい連泊して、その間、部屋をキープしたまま関西や九州に泊まりがけの旅行をします。その間も当然宿泊代はかかりますが、荷物置き場として割りきっているんです。なんとも贅沢ですが、だからインバウンドは儲かる。今はその波に乗るしかないと、ターゲットを外国人観光客に変えている状況です」  ビジネスホテルはより儲かるインバウンドへの鞍替えを進めているところも多く、出張者が泊まれるホテルは都内でどんどん減っているのだ。
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「羽田空港の国際線ロビーは快適に寝られる」
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