仕事

部下の給与を切って管理職のボーナス死守…使い捨てされる若手社員の嘆き

“下っ端”の給与を切ることで上の人間がボーナスを死守

 今はまだ、そこまでの事態は起きていないのかもしれないが、その予兆は、中小企業に出始めている。大阪市内の船舶部品会社に以前勤めていたという今本光さん(仮名・20代)の証言だ。 奴隷「数年前から、管理職や課長クラスの給与が20%カットされるなんてことをやっていました。ついにヒラ社員の給与も圧縮することが決まったのですが、上司はカットされてもまだ生活ができる額。我々なんか20%もカットされたら生活ができない。家賃の安いところへ引越ししたり、実家から通い始める同僚もいましたが……ついに限界がきました」(今本さん)  今本さんはそれでもなんとか続けていたが、ちょうどそんな時、決定的な出来事が起こる。一体、何があったのか? 「外資系同業者から引き抜きの話があり、若い社員がごっそり移籍したんです。残った私たちで必死に頑張り、前年比プラスマイナス1~2%で決算も乗り切ったはずなのに、給与はまた下げられました。浮いた分は管理職のボーナスに当てられたのではないか? そんな噂が飛び交い、私も辞めました。仕事があるかないかの前に、上の連中は我々を奴隷か何かと勘違いしているんじゃないか、そう思わずに入られませんでした」(同上)  終身雇用を守るのであれば、みなが同様に痛みを伴う改革に耐え、会社と社員を守っていかなければならない。一部の人間だけが、昔のように、同じように給与をもらいたい、生活したい、と思っては立ち行かなくなる。  しかし現実には、既得権益を死守したいがために、下っ端を入れ替え続けることで、なんとか存続を図っていこうとする人々……いや、若者からすれば「そう見えてしまう」中高年が多いのも事実だ。彼らこそが、終身雇用に生かされてきたがゆえに、終身雇用の呪縛から逃げられない。  その泥舟から、すでに多くの若者は逃げ出しているのだ。<取材・文/山口準>
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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