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部下の給与を切って管理職のボーナス死守…使い捨てされる若手社員の嘆き

 終身雇用を守るのは厳しい――。世界に誇る日本の自動車メーカー「トヨタ」社長の発言が波紋を呼んでいる。終身雇用制度といえば、かつて跳躍する日本企業ならではのシステムであった。大学を卒業し、就職試験を経て入社した会社で、死ぬまで“安心”して働ける。安心があるからこそ、社員は会社に貢献し、会社は社員を守った。
崖っぷち

いま「終身雇用」と聞いても遠い昔の話に思える。※画像はイメージです(以下同)

 一方で、実績よりも年功により身分が保障され、半ば自動的に主任や係長、課長へとステップアップできるがゆえ、頑張らない人、ポジションにかじりつこうという人もいた。  だが、その他大多数がしっかり働いていれば、それでも会社はまわっていた。終身雇用の仕組みの中にさえいれば、彼らとて弾き出されることはなかったのだ。もちろんこれは、遠い遠い昔の、我が国が良かった頃のお話。  終身雇用制度とは、上に向かって細まるヒエラルキーの形でなければ、絶対に成り立たない。にも関わらず、昨今はいびつな状態となっている会社も少なくない。 ヒエラルキー

「ワケがわからない役職がヒラ社員より多い」

「主任、係長に課長、部長……。普通そんなもんでしょう? 最近は主任の前にリーダーがいて、専門主任やら副主任やらワケのわからない役職が死ぬほど増えました。課長以上もそうです。専門課長に課長待遇、部長の下になんとかマスター、なんちゃらスペシャリストとか。要はこれ、上が多すぎて役職がないから適当に作って肩書きを与えて据え置き、僕ら若いのは昔よりずっと昇進しにくくなっただけ」  都内に本社を置く二部上場建設会社勤務の福田健一さん(仮名・30代)は憤る。普通に働いていれば、もうそろそろ係長にはなれていたはず、実績もあり課長の肩書きだったかもしれない。  しかし、上が「糞づまり」状態。役員の数は十数年前の三倍に増え、営業部や工務部も「第一、第二」と切り刻まれ、それぞれに部長や課長が鎮座する。業務が細分化されたことで、上司は以前ほど働かなくてもよくなったようにも思えるが、福田さんのような下っ端は、他の営業部や事業部のヘルプをさせられることはザラ。上は身分もある程度の給与も保障されているが、下っ端には未来がない。そう感じても無理はない。 絶望部署によっては、課長以上の人間がヒラより多いんですよ(笑)。課長と部長待遇の上司のソリが悪く、上下関係もふわっとしている。そんな二人が部下に真逆の指示をしてくるから下は大変。部長といえば、早々に役員レースから脱落していて、とにかくクビにならないよう必死。問題が起きればまず隠蔽、それでもダメなら部下のせいや他部署のせいにしようと工作する」(福田さん)  こうして会社は負のスパイラルに陥る。若い者から順に逃げ出し、最後は会社もろとも倒れてしまう。
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下っ端の給与を切ることで上がボーナスを死守
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