お金

70歳以上の平均貯蓄額は2200万円。老親のカネを守るには

老親の資産管理は子供の責任

 同様に司法書士の速水陶冶氏も、さまざまな要因で資産が目減りする危険性を指摘する。 「振り込め詐欺などもそうですし、金融機関も知識がないのをいいことに、高齢の親には必要ない無駄なオプションのついた金融商品を売りつけてくることがあります。さらに、親と同居していた兄弟がいつの間にか親の預貯金を使い込んでいたケースも。家族内では窃盗にもあたらないですから、対処が難しい。そうして、少しずつ老親の資産が削り取られてしまうケースが後を絶ちません」  放っておくといつの間にか親の資産が大幅に減っていたということも十分あり得る。 「一番は生前から家族と協力して準備をしておくことです。預貯金や不動産、金融商品など、放置しているうちに損してしまうケースが多い。亡くなってからでは、相続するための面倒な手続きや余計なロスも増えてしまいます。早めに動きだすことが大切です」  老親のお金を守るには、事前の備えが大切なのだ。 <年老いた親の資産減少リスク> ●65歳:無駄な資産運用の勧誘……年金受給が始まり、金融商品の勧誘が増える ●70歳:振り込め詐欺の被害……被害者の88%が70歳以上(警察庁)とも ●75歳:各種保険に加入する……本格的な老後に突入し、健康不安から入りがち ●80歳:認知症リスクが高まる……介護施設に入り、自力での資産管理が困難に ●85歳:遺言書が遺産を増減……贈与させるか相続させるかで税額が変動

イラスト/オーグロ慎太郎

【太田差惠子氏】 介護・暮らしジャーナリスト。NPO法人パオッコ理事長。’93年ごろより老親介護の現場を取材。主な著書に『親の介護には親のお金を使おう!』(集英社)、『遠距離介護』(岩波書店)など 【速水陶冶氏】 司法書士。はやみず総合事務所代表。相続や債務整理に取り組み、民事信託など高齢者の財産管理にも関わる。著書に『親が認知症になる前に読むお金の本』(三栄書房) <取材・文/週刊SPA!編集部> ― 老親のお金を守れ! ―
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