更新日:2019年07月14日 12:07
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なぜ犯罪者はフィリピンに逃亡する? 待ち受けるのは悲惨な末路…

多くの犯罪者たちの末路

刑務所 女性まかせの逃亡生活というのはかなりのリスクをともなう。過去の逃亡者の中には、数千万円を持っていきながら、最後はその日暮らしになっていたというケースもある。これは、最初こそ協力的だった女性が、足元を見て徐々に財産をむしり取っていき、金の切れ目が縁の切れ目となって見捨てたり警察に密告しているのだ。  さらに追い打ちをかけるように、昨今ではフィリピン政府も外聞を気にして捜査協力に積極的になってきているように見える。  実際、星野容疑者が拘束されたのも、フィリピン政府が捜査に本腰を入れたからである。 「在フィリピン日本大使館の要請を受けて、ハイメ・モレンテ委員から星野容疑者の逮捕を強く命じられたという。犯人の居場所を確定するにあたってBI(入国管理局)の協力を受け、さらに任務自体も東京のインターポール(国際刑事警察機構)と連携して実施されました」(プレスリリース訳文より一部抜粋)  このように日本からの要請に対して、きちんと動いた結果なのである。  こう言っては語弊があるかもしれないが、これまで日本の警察やフィリピン政府が厳しく取り締まってこなかったのは、取るに足らない犯罪者が多かったからだ。微罪だったり、世間を騒がすほどの規模ではない横領で日本から逃亡したような人もいる。そうした犯罪者がフィリピンには何人も暮らしていると、筆者も取材の過程で聞いたことがある。  そういった人々は、フィリピンはもちろん日本にも居場所はない。帰るに帰れず、ただ惨めな暮らしを続けながら、人生の終わりを待っているだけである。もはや「犯罪者の楽園」と呼ぶにははばかられる状況ではあるが、微罪の逃亡者が逃げ切っているのも事実。そこを拡大解釈した逃亡者の中には「もしかしたら自分だけは逃げ切れるかも」と淡い期待と幻想を抱いて、これからもフィリピンを逃亡先として選ぶ者がいるかもしれない。被害者やフィリピンにとってはこのうえなく迷惑な話である。<取材・文/丸山ゴンザレス>
1977年生まれ。宮城県出身。考古学者崩れのジャーナリスト・編集者。國學院大学学術資料センター共同研究員。大学院修了後、無職、日雇い労働などから出版社勤務を経て独立。現在は国内外の裏社会や危険地帯の取材を続けるかたわら、TBS系『クレイジージャーニー』に出演するなど、多方面で活躍している。著書に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』(光文社新書)、『危険地帯潜入調査報告書』(竹書房)など多数ある。
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