コブクロ小渕の国歌独唱に笑撃はしる。君が代は歌いにくい?
2019年9月15日に行われたMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で、「君が代」を独唱したコブクロの小渕健太郎(42)。その衝撃的な歌唱が、波紋を広げている。
一世一代の大勝負に臨むランナーに敬意を表し、深々と一礼、左胸に手をあてる小渕。すると、何を思ったか、『もののけ姫』の主題歌のように異様な高音で歌いだしたのだ。
初めの最も低い音である「き」の時点で、すでにモスキート音と化していた小渕の「君が代」は、クライマックスに向けて息も絶え絶えになっていく。すると、事件が起きる。通常、地声がひっくり返って裏声になるところ、裏声に耐えきれず、地声が出てしまったのだ。
これには、ランナーたちも不意を突かれた様子だった。無理やり険しい表情を作ろうとする選手や、あくびをごまかすような具合で笑いをこらえる選手。共通していたのは、“これは想定していた「君が代」と違う”という困惑だった。
そんなざわつきをよそに、表情筋を総動員して、アクロバティックな「君が代」を歌い通した小渕。だが、第一声の時点で敗北は決定していた。裏声のみで成立させる筋力、音感、スタミナ。ボーカリストとしての小渕には、そのいずれもが欠けていたからだ。
歌い終えた小渕は「緊張しすぎました」と語っていた。確かに、普段のライブと勝手が違っていたのだろう。しかし、なぜこんな一大イベントでリスクを冒そうとしたのだろうか? 第一、学生時代からファルセット(裏声)でしか「君が代」を歌ったことがないのだろうか? そんなことはないはずだ。何か不思議な力が、小渕から自然体を奪ってしまったのではないか。つまり、歌い手にとって「君が代」は“魔曲”なのである。
だが、「君が代」となると、事情が違ってくる。歌いだしの一発目で間違えると、もう取り返しがつかなくなるのだ。
今回のファルセット小渕で思い出したのが、堀内孝雄(69)の玉砕系「君が代」だ。2004年12月16日のサッカー日本代表VSドイツ代表の親善試合での出来事だった。
自らの音域以上のキーを地声で歌いだす、致命的なミスを冒してしまったのだ。案の定、<ちよに やちよに>、<さざれ いしの>、<こけの むすまで>での高音でガス欠状態に陥った堀内。結局、“ぅい~し~の~”とか“こぉぅ~けぇ~ぬぅお~”と、べらんめえ調な勢いをつけて歌わざるを得ない事態になっていた。
2011年8月10日、サッカー日韓戦での太志(39、5人組バンドAquaTimezの元ボーカル)も忘れがたい。こちらは、あえて自分のフィールドに持ち込んだのに、どういうわけかヘタをこいた例だ。
ふにゃふにゃとしたJポップ歌唱を身振り手振りでごまかしているうちに、本当に音程が取れなくなってしまった太志。彼の場合は気合の入りすぎとは、少し違うようだった。バンドで歌っている感じで逃げ切ろうとタカをくくっていたら、思いのほか<やちよに>で頑張らなければいけなくなってしまった。その瞬間、巨大スクリーンに映し出された太志が、力を込めつつ戸惑っている不思議な表情を浮かべていたのが印象的だ。ふとしたことから、調性の薄い「君が代」のトラップにハマってしまったのだろうか。
そして、06年8月2日、亀田興毅VSファン・ランダエタのWBAライトフライ級タイトルマッチでの森友嵐士(53、T-BOLANボーカル)の国歌独唱。こちらは、“きみがよは”を“くぃむぃぐぁうぁ よぅうぉわはっ~”に変換する、ヒムロック魂に満ちたパフォーマンスだった。しかし、発音にこだわるあまり、“やちよに”のメロディが一瞬飛んでしまった様子で、音楽的には相当な綱渡りだったのを思い出す。
コブクロ小渕、異様な高音の裏声にネットも騒然
スポーツイベントに国歌斉唱はつきものだが、「君が代」ほど事故率の高い国歌はない。たとえば、MLBやNBA、プロボクシングなどで、様々なジャンルのミュージシャンがアメリカ国歌を多彩なアレンジで披露する。出来不出来の差はあれど、目も当てられないほどのパフォーマンスは、めったにない。【#MGC 速報】
— JAAF(日本陸上競技連盟) (@jaaf_official) September 15, 2019
国歌独唱 していただいた #コブクロ #小渕健太郎 さんのメッセージです
ありがとうございました#この日日本代表が決まる#東京オリンピック
マラソン日本代表選手選考レース
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堀内孝雄も、高すぎるキーで歌い始めて玉砕
太志、T-BOLAN森友も忘れがたい
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