更新日:2023年04月20日 12:21
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16歳グレタさんの国連演説が波紋。叩く/礼賛する大人たちの危うさ

グレタさんが消費され、地球はそのまま…という懸念

 かなり議論を呼ぶ書き方だし、オニール氏自身の立ち位置も考慮しなければいけない。それでもこのコラムにいくらかの説得力があるとすれば、それは「The 1975」の楽曲の安易さゆえである。“グレタ・トゥンベリ”というラベルを貼れば、それなりに耳目を集められる。そうしたお手軽な状況と、粗雑な楽曲構成が、皮肉にも一致してしまっている。結局、利用された挙句、消費されつくして終わってしまうのではないだろうか?  だから、オニール氏はトゥンベリさんのオファーを蹴ったバンドを「褒めたたえる」と言っているのである。

 会合に現れたトランプ大統領を鋭くにらみつけるトゥンベリさんは、確かにフォトジェニックだった。いまにも消え入りそうな声で、切々と思いを訴える1年前の姿とは大違いだ。  いかにも劇的な成長ぶりだが、この“劇的”という分かりやすさを疑う目も、心のどこかにキープしておきたい。 <文/音楽批評・石黒隆之>
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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