『ハードロック工業』で作っているのはエレキギターではなくて…?
―[(珍)社名の謎を追う!]―
世の中には「えっ、それって会社名?」と思わず目を疑ったり、妙な誤解を受けそうな怪しい響きの社名が結構ある。それなりに考えて命名しただろうに、なぜそんな名前に!? そんな気になる名前の会社に、社名の由来と、その名前ゆえのエピソードを聞いてみた!
【誤解されそう編】
社名:ハードロック工業
ゆるみ止めナット製造・販売
「音楽事務所とか楽器メーカーと勘違いされることはありますね」というこの会社。が、実際はナット界のトップ企業だ。
「弊社のメイン商品はハードロックナット。”ハードに(=堅く)ロックする(=締める)”という意味です。ウチの社長は以前、Uナットという商品を扱う富士精密製作所という会社を経営していたんですが、それだと社名と商品名が結びつかない。そこで、’74年に新たな会社を立ち上げるときに、”この商品はこの会社が作っているんだ”と一目瞭然でわかるようにしたいと考え、主力商品の名をそのまま社名にしたとのことです」(企画部・小林雅彦氏)
また当時からナットでの世界進出も視野に入れていたそう。
「富士精密製作所のような日本的な社名よりも、英語にしたほうが海外でウケがいいだろう、と。実際、欧米の取引先などは、こういったシャレた社名に対して食いつきがよくて、海外進出も順調です。この社名は海外での認知度アップにかなり貢献してくれていると思います」
ただ、一つだけ難点が……。
「アメリカではさすがに『ハードロック』での商標が取れなかった(笑)。向こうには『ハードロックカフェ』とかもありますからね。現在は『ハードロックナット』で再申請しています」
音楽はさておき、ナットの”日本製ハードロック”は世界に誇れそうだ。
社名:ヤリステ
コンベヤ、自動箱替え装置などの開発・製造・販売
「インパクトがあるので覚えてもらいやすいですが、“やったらやりっぱなし”のようにとらえられてしまうと、マイナスイメージになってしまいますよね(苦笑)」と同社の広報担当者も自認しているが、実はこの「ヤリステ」の由来には古い歴史があるとか。
「百数十年前の社長のご先祖様は鎗鍛冶の職人だったんですが、弊社の創業者に当たるそのご先祖様は『捨松』という名前だったそうなんです。その”鎗屋の捨松”を略し、さらに”捨”の字を変えた『鎗須定(やりすて)』という社名で、しばらくは事業を営んでおりました。ただ、お客様などから、漢字だと読みづらいという声があったため、’84に『ヤリステ』とカタカナ表記に変更し、現在に至ります」(広報担当者)
そんな由緒ある名前とは! でも、読みやすくなった半面、あらぬ誤解を生んだのは想定外!?
社名:あたりや商事
不動産業
同社のHPによると「客がよい物件に”あたり”ますように」が由来らしいが、どうもあらぬ商売を想像しちゃう……。怒られるのを覚悟で電話すると、二代目社長が開口一番、「私の代で変えようと思ったんだよ。昔、わざと車に当たる商売あったじゃない。そんな仕事してんのかって冷やかされたから」と、ぶっちゃけ発言。
でも、一流会社の社長や重役から「変えないほうがいい。会社も社員も目立たなきゃ出世しない」と助言され、考え直したそう。
「今流行りの横文字やカタカナの名前なんてすぐ忘れちゃうけど、ウチは一度聞いたら忘れないもんね。社名を考えたのは創業時の番頭らしい。昔、遊郭にあった弓矢打って『あたーりー』って言うやつ。そこからつけたと思うんだ」
え、「よい物件に”あたる”」では!? 「あとからそれらしい理由を考えた」って、こじつけかい!
― (珍)社名の謎を追う!【4】 ―
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