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ヤンキーはどんなクリスマスを過ごす? 現役の不良たちに聞いてみた

仲間とスーパーに行き…

 一方、「自分はあまりモテないですから。みんなで遊ぶことが多いです」と、はにかむような笑顔で答えてくれたのは最年少のユウキ。顔つきにはまだ17歳らしい幼さも残っているが、「遊び」の内容を聞くと失笑するほかはなかった。 「まずはスーパーに行き、みんなで調達ですね。それで山に移動すると、テントを張って中で酒盛りするんです。スーパーでは肉とか酒はもちろんだけど、ガスコンロやテントも選んで。LEDの電気をサブ銃に刺して照明にしているから、外から見たら少しおしゃれな感じかもしれない」 “調達”という曖昧な表現を使っているが、それって要するに万引きでは? という疑問がないわけでもなかったが、ユウキは「でも本音を言えば、自分も彼女と過ごしたいです」とつけ加えた。その気持ちは調達仲間も同じようで、去年は渋谷にある「青の洞窟」へ仲間たちとナンパしに行ったのだという。しかしそこで撃沈したため、不承不承、調達してきたテントに至る結果になったのだ。黒石氏も自身のヤンキー時代を思い出しながら、クリスマスの苦い経験を語る。 「俺が現役の頃も、彼女がいるときは一緒に過ごしていました。やっぱり十代のガキにとってクリスマスって大きなイベントだから、精一杯おしゃれに演出しようと頑張るんスよ。それこそ都会のイルミネーションを見に出かけたりね。だけど田舎者が慣れないことをするものだから、途中で嫌になっちゃう。その結果、いつもの仲間と集まってバカ騒ぎしながらバカ酒(苦笑)。女の子たちからは、むちゃくちゃ評判が悪かっただろうな」

そもそもデートはどこに行くの?

「ヤンキー流クリスマス」の実態がおぼろげながら見えてきたところで、「ヤンキーのデート」についても話を伺ってみた。まずは現在、彼女がいるというヒカルから。 「デートですか? 近所の道を2人でブラブラ歩くだけですね。特にファミレスとか駅とかの目的地もないです。近所の自販機まで行って、そこから折り返すような感じ。犬の散歩と変わらないです。でも、犬も散歩に連れていくとテンション上がるじゃないですか。彼女も盛り上がっていると思いますよ」  若いのに地に足のついた(!?)デート観に驚かされるばかりだが、一方のユウキはあくまでもデートでは非日常性を演出したいと強弁。「具体的には、みなとみらいがベスト」と断言した。地下鉄に乗って桜木町まで出かけ、映画を観て、観覧車に乗り、山下公園をブラつく。これこそがデートの王道という考えなのだ。これには黒石氏も「変わらないな。俺の時代もそうだった」と目を細める。 「神奈川県の中でも戸塚、大和、相模原とかの郊外に住む奴らは、横浜に対する憧れがハンパないんスよ。当たり前だけど、ヤンキーだって女の子に喜んでもらいたいというサービス精神はある。だけどガキだから、どうすればいいのかわからない。それでも考えに考え抜いて出したデートプランが、みなとみらいの観覧車ということになるわけです。ちなみに中華街は、なぜか神奈川県民からは敬遠される傾向があるかな」  いかがだったろうか? なかなか表に出てくることがないヤンキーたちのリアルな肉声に、驚かされることも多かったはずだ。それと同時に、今後はみなとみらい周辺でヤンキーを見かけたら少し心が温かくなるような気がした。〈取材・文/小野田 衛 撮影/丸山剛史〉
出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。
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