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ヤンキーはなぜ40代でも仲間の誕生日を祝うのか?「欠席はありえない」

 ヤンキーたちのクリスマス&デート事情をレポートした前回記事「ヤンキーはどんなクリスマスを過ごす? 現役の不良たちに聞いてみた」には大きな反響が寄せられた。そこで今回は【ヤンキーの新生態】シリーズ第2弾として「なぜヤンキーたちは誕生日会を開きたがるのか?」をお届けする。

取材に応じてくれたヤンキー&元ヤン。写真左から、ヒカル(19)、ユウキ(17)、黒石高大氏、コウジ(21)

誕生日はヤンキーの一大イベント

 ほとんどの男性は社会に出て数年も経てば、自分の誕生日などどうでもよくなるはずだ。特に30歳を過ぎるとその傾向は顕著で、Facebookなどでメッセージが届いてようやく誕生日を迎えたことに気づくケースも多いのではないか。ところがヤンキーと呼ばれる人種は、なぜか誕生日を非常に重んじる傾向がある。彼らのSNSには仲間の誕生日を祝う投稿が常に溢れており、驚くことにこの状態は40代~50代になっても続くのである。  この珍現象について「たしかにヤンキーにとって誕生日は一大イベントかもしれない」と黒石高大氏(33)が認める。黒石氏は横浜の愚連隊総長として名を馳せ、08年から不良系格闘技大会・THE OUTSIDERに参戦。悪羅悪羅系モデルとしても一世を風靡し、現在は子供向け番組『ひみつ×戦士 ファントミラージュ!』に出演するなど、俳優として幅広いジャンルで活躍している。 「とにかくヤンキーというのは騒ぐことが死ぬほど好きな人種。逆に言うと、騒げればなんでもいいわけです。だから騒ぐための口実として、誰かの誕生日を祝おうということになる。俺らのときは15歳くらいから居酒屋で宴会していましたね。毎回、顔面にケーキをブチまけるのがお約束になっていて、延々とバカ騒ぎを繰り返すわけですよ。騒ぐために集まるという意味では、ヤンキーがやたらバーベキューをやりたがるのも同じ理屈です」  ヤンキーの誕生日会は先輩に召集されて顔を出すというより、気のおけない同世代の仲間で集まるケースが圧倒的に多い。「自分が持っている中で一番かっけー」と思う服でキメ、仲間を手荒く祝福するのだという。参加者はプレゼントも用意する。中身はアクセサリーや香水など。そこは一般的な感覚とはズレがないかもしれない。  こうした黒石氏の説明に大きく頷くのは、同じ年のオサム(仮名=以下同)だ。黒石氏とは地元の不良仲間だったが、現在は複数のキャバクラを切り盛りする敏腕経営者となっている。 「誕生日会は今でも頻繁にやっていますね。もちろん年齢を重ねると家庭を持ったり、仕事が忙しくなったり、住む場所がバラバラになったりもする。でも、そんなの関係ないッスよ。声をかけられた時点で、欠席するなんて考えられない。何がなんでも出るものと全員が認識しているはずです」
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現役世代にとっては「正直、疑問」
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出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。

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