更新日:2023年05月18日 16:25
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ナイキ「厚底シューズ」論争で再注目、『陸王』の薄底セオリーは間違い?

『陸王』は名作だが、今観たら違和感が…

「厚底」よりも「薄底」――ドラマ内のロジックは、ドラマを構成する一つの要素にすぎないかもしれないが、見る人が見たら少し違うだけで引っかかってしまうものである。ただ、放映当時の知識のない大多数の人からすれば、ドラマ内の説得力や展開で納得できれば「どうでもいい」ことだった。  そして、ドラマの最終回を迎えた直後、2018年正月の箱根駅伝において好記録を連発したことにより、厚底シューズは陸上競技ファンならずとも一般的に知られることになる。放映のタイミングとしてはギリギリセーフであっただろう。 それでも今回の騒動ではじめて時代が厚底シューズになっていることを知った人も少なくはない。『陸王』視聴者もその例外ではなく、今さら「陸王の理論と逆行している」という主張や、当時から時代遅れとの意見があったにもかかわらず「今、陸王を放映していたら時代にそぐわなかった」という声がSNSに溢れている。  ここまで厚底優勢という現在の常識が一般に浸透してしまうと、『陸王』があれだけの名作だったにもかかわらず、今後もし再放送があったとしても、多くの人がその内容に違和感がぬぐえないだろう。そもそも、敵役として頻繁に登場する「アトランティス」社の営業部長・小原役のピエール瀧氏の問題もあるため、将来的に幻の作品となってしまう可能性もある。  ただ、報道のように厚底が規制されるようになったり、さらなる技術革新で薄底のシューズが復権することがあれば、改めて『陸王』のロジックに説得力が生まれる日が来るのかもしれない。時代によって常識は簡単に変わる。陸上界の今後の行方に注目である。 <文/小政りょう>
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦
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