更新日:2023年05月18日 16:33
エンタメ

元NHKのヒットメイカー・大友啓史監督が最新作『影裏』に込めた想いとは?

綾野剛は文学、松田龍平は映画の匂いをまとう稀有な役者なんです

――綾野さんは『るろうに剣心』、松田さんは『ハゲタカ』以来のタッグです。今野役の綾野さんの魅力は? 大友:綾野君は、文学的なまといを一瞬にして出せる稀有な俳優。文学が衰退していくとともに、そうした香りのする俳優もどんどんいなくなってきましたよね。文学の定義って難しいけど、人間は生物であって、いいとか悪いとかモラル的に判断する以前に、いろんな矛盾を抱えて生きているものなんだということが、彼の中で常に燃え盛っているような感じがする。  それをアウトプットする機会って普通はないんだけど、映画では堂々とその香りを出せる。そういう感性がさらに研ぎ澄まされて、いい意味で非常にややこしい存在になってきていると思いましたね。 ――日浅役の松田さんは? 大友:綾野君が文学的なまといだとすると、龍平君は映画的なまとい。極端なことをいうと、どこからどう撮っても映画になっちゃう。そして超絶ニュートラルだけど、役とは真摯に向き合ってくれる。日浅という得体の知れない役を、本人も「わからない」と言いながら着実に手繰り寄せて地に足の着いた役にしてしまう。そういう独自の回路が、彼の中にあるんだと思う。綾野君とはまったく違うタイプですが、やはり稀有な役者。2人が芝居というキャッチボールをしていくさまを撮るのは、本当に面白かったですよ。 ※1/28発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです 【Keishi Otomo】 ’66年、岩手県生まれ。’90年にNHK入局。’97年から2 年間LAに留学した後は『ハゲタカ』『龍馬伝』などの演出を担当。’11年に独立すると、ワーナーと日本人初の複数本監督契約を締結。『るろうに剣心』『3月のライオン』など話題作を次々と手がける 取材・文/望月ふみ 撮影/尾藤能暢
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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週刊SPA!2/4号(1/28発売)

表紙の人/ 広瀬アリス

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