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渋谷直角流「味わいある文章」のススメ

◆型にハマらない、「味わいのある文章」とは?

渋谷直角氏

渋谷直角氏

 自分の文章がうまい、とはまったく思ってないので、あんまエラそうなことは言えないのですが、「味わいある文章を書くコツ」は簡単です。「結論を曖昧にする」。コレだけでいいのです!

 例えば、友達から「ナンパした女が、ヤラせてくれなかった話」を聞いてるときのことを思い出してみてください。それまで散々聞かされて、「結果、ヤレなかったんだけどさ」と言われたとき、すげーガッカリするじゃないですか?やっぱ「ヤッちゃった話」のほうが聞いてて興奮するし、テンション上がるじゃないですか? では立場を変えて、自分が話す側にまわった場合。しかも本当にヤレなかった場合。そこは、いくら正直者のあなたでも「ヤレなかった」と素直に言っちゃダメ。「女と飲み屋を出て、そこから後は、フフフフ……」という、ものすごい曖昧なシメにするほうが、聞き手も想像の余地があるワケですよ!

 要は、これをそのまま文章に落とし込めばいいんです。ただ大事なのは、その前段階の部分を細かく書いておくこと。例えば「彼女のソルティードッグはすでに空である。バーテンダーが、何かお飲みになりますか?と彼女に訊く。俺はその言葉を制し、“もう出ようか”と、短く言った」。このぐらい細かく書いて、読む人のアタマの中に情景をイメージさせておく。でも、その店を出てからは、急激に曖昧にしてOK!

「店を出た途端、俺は彼女の手を握って……」。で、終わり、とか。え、その後は!? その後を教えろよ!という、中途半端なところでシメちゃうのです! この寸止め感が、「結局ヤレたの……?」と、読み手の想像を促し、味わい深くさせる。上級者なら、もっと曖昧でもいい。「二人の夜は、そこでは終わらなかった……」でおしまい、とか。なんか「味わいあるなあ」みたくなるでしょ? 完全に雰囲気だけですけど!

 これを使いこなせるようになれば、何でも味わい深くできます。「コンビニでジャンプ買った」とかでもいける。「月曜日の朝。コンビニに入ると、俺はおもむろにジャンプを手に取って……」。終わり。「買った」という結論を書かないだけで、なんか妙に余韻が出る。こうなるともう、何でも味わい深くいける!「ビックリマンチョコの袋から、キラシールが見えて……」「タンスの角に、足の小指をぶつけて……」。どうですか! 文章の最後を曖昧にするだけで、こんなにも味わい深くなることがわかりましたでしょうか? 後はもう、そこから……(曖昧)。

【渋谷直角氏】
ライター。小誌コラム「そのひとことにホレました」を連載中。自身のブログをまとめた『直角主義』が好評発売中!

取材・文/藤村はるな 桜田容子 横山 薫(本誌) イラスト/樂我鬼
― どんなにバカでも文章が上達する13の秘技【11】 ―

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