仕事

テレビ業界では食っていけない…底辺にいる現場スタッフの実情

副業やアルバイトをする若手も…

テレビマン そんな背景があるからか、テレビ局で働きながらアルバイトをする若手も増えてきているという。現役の民放局に籍を置く、元某クラブ記者・武田宏さん(仮名・30代)の証言。 「同僚とガールズバーに飲みにいったら、どうも見たことのある若い子がスタッフとして働いていました。普段は記者クラブにいて、本社にはあまりいなかったので、すぐには思い出せなかったのですが、後日放送を見てびっくり。その子が、うちの番組で食レポをやっていたんです」(武田さん、以下同)  その若い女性は、都内の有名大学を卒業したものの、キー局の新卒採用試験に失敗し、外部の制作会社に就職。派遣スタッフとして働いていたのだが、別のスタッフにもガールズバーで働いていることを目撃され、あっという間に噂が広がると、数か月後には会社を辞めていた。彼女の上司が「テレビに出る仕事をしていて誇りはないのか」と激怒したというのだが……。 「いや……誇りうんぬんの前に、ちゃんと給料を払えという話。私は元クラブ記者を経験していますが、当時は局の関連会社の社員。警視庁クラブや司法クラブ、霞クラブなど要所に配置される記者は、かつては社員だけと決められていましたが、最近は子会社や関連会社のスタッフが局に出向し“社員”として配属される。給与はキー局の社員よりも当然低く、労務管理も適当。やりがいはありますが、カネがないからだんだん精神的にも病んでしまい、辞めちゃう子も少なくないんです」  もちろん局の正社員給与も軒並み下がっており、社員たちは大騒ぎしているというが、それでも武田さんの倍近くを得ているそうだ。 「テレビじゃ食えない、は本当です。食えるのは、俺たちみたいな下働きを使う社員だけ。まじで奴隷、人が来るわけがない」  はたから見ていると華やかなマスコミ業界だが、食えているのは「上級社員」だけなのか。<取材・文/山口準>
新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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