メニュー表にないものを注文してみると
目の前に置いてあった野菜
入店して1時間。取材班も「メニューにないもの」を頼んでみることに。そこで、目の前置かれていた野菜を指差し「これ、天ぷらにすることとかってできますか?」と聞いてみた。
メニューにはない天ぷらたち
すると「できるよ」とまさかのOK。「このふきのとうと、あと何か一緒に天ぷらにする?」と、他の野菜数種類と魚の天ぷらまで勧めてくれた。話には聞いていたが、なんなんだこの店は……。
天ぷらを食したころ、店内はもう満席。そして次から次へと「席が空いているか」と電話がかかってくる。長居しては迷惑だと、最後に締めの料理を注文することにする。せっかくなので変わったものを思い、何にしようかと考えていると「今日はグラタンもあるから」と大将。グラタンを出す寿司屋なんて他にはないだろう。
即興パスタ。これも美味。もはや寿司屋に来たことを忘れてしまう
結局、最後もメニュー表には記載のないパスタを注文。ちなみにこれも先ほどのカルボナーラから連想した、「なんか、パスタとか食べたいんですよね~」というこちらの無茶ぶりに大将が応えてくれたものだ。
お客さんも楽しそう!
さて、そのパスタだが、具に魚介類がたくさん入っており、寿司屋のパスタという本領発揮の味であった。こんなお店が家の近くにあったら毎日でも通ってしまいそうである。
松永伸幸さん
そもそも、一体なぜこのような寿司屋を始めたのか。このお店を営んで18年という大将の松永伸幸さん(お客からはノブさんの愛称で親しまれている)に話を聞く。
メニュー表。寿司屋らしからぬメニューも並ぶ
常連さんが頼んでいたピザもパシャリ
「寿司屋って敷居が高いじゃないですか。でも、僕はそれが嫌で、気軽に来てほしいお店を作りたいと思ったんです。だから店名に『dining』とつけ、寿司以外のメニューも提供しています。メニューにないものを出すのも、お客さんに楽しんでもらいたい、喜んでもらいたいという思いからですね。なるべくリクエストには応えたいと思います。もちろん、パスタやピザだってユニークさだけじゃなく、寿司と同じくこだわりを持って作っています!」(松永さん)
開店前に入店していた女性客は、「ほとんど開店前に来る。ノブさんもダメとは言わず優しく迎えてくれるから。料理はどれも美味しいし居心地もいい」とのこと。もちろん、常連客が幅を利かせているわけではない。
「
一見さんもよく来るし、大歓迎です」と松永さんは話す。
『鮨dining 松雪』最高でした!
「寿司屋では寿司しか食べられない」を覆す『鮨dining 松雪』。気になる人は行ってみてはどうだろう。無謀なメニュー以外であれば、大将の「できるよ」を聞くことができるかもしれない。取材時の混雑ぶりをみると、予約は必須だ。<取材・文・撮影/鈴木大喜>