職場の“義理チョコ”問題。抜け駆け、手作り風…したたかな女性たち
子どもの頃のバレンタインは、ただ好きな男の子にチョコをあげるだけの楽しいイベントだった。しかし大人になると、仕事の付き合いや関係性上なんとなく渡さなければいけない空気にもなり、それを苦に感じる女性も多い。そんななか、昨今は義理チョコを禁止する職場も増えてきた。
加藤さんの部署は男性が10名に対して女性は4名。一昨年までバレンタインは自由だったそうだが、昨年から女性社員の間で“ある決まりごと”が出来たそうだ。
「今までは個々にあげていたんですが、その年からは4人合同でチョコを買って渡そうってことになったんです。1人2000円だし合って、チョコの数が多く入っていて、みんなでつまめるようなものを1つだけ買おう、と。
うちの職場は男性が多いから大変なんです。誰かが結構良いチョコをあげていたりすると、なんとなく値段を揃えなきゃいけない雰囲気になりますしね。まるで結婚式のご祝儀のように(笑)。だから、みんなで買うという案を先輩が言い出してくれて助かったって思いました」
一方で男性側は、暗黙のルールのごとくもらったチョコよりも高いお返しをくれることが多いという。男性側にとってもひとまとめで済むのでありがたい話だろう。この話を聞く限り、何もトラブルは起きなそうだが……。
「私たちへのお返しは、女性は人数が少ないので同じお菓子を1つずつ。なのに、なぜか後輩の子が1人だけ部長からスタバの豪華なお返しをもらっていたんですよ」
加藤さんは、スタバの豪華なセットは「おそらく5000円はしそうでした」と話す。なんとその後輩は抜け駆けのような形で合同チョコ以外にコッソリと部長にだけ渡していたという。
「部長は気を良くしていましたけど、だったら何も隠れて渡さないで『部長にはお世話になっているから個人的に渡したいです』とか言ってくれればいいものを……。バレンタイン以降、妙に部長もその子に甘いし、なんだかなぁって思いますよ。あげなかった私たちはなんだか妙な気まずさがありますしね。これでまた次回からどうやって渡すのか考えなきゃいけないから大変です……」
筆者も以前、とある会社でアルバイトをしていた時に同じような経験をした。「バイトからのチョコは合同にしよう!」とみんなで500円ずつ出し合い、チョコがたくさん入った箱を買ってタイムカードの横に「バレンタインです! お好きにどうぞ!」とメモを添え、置いておいたのだ。
すると、やっぱり……上司や良いお返しをくれそうな男性社員に個別でチョコを渡していた子が2人ほどいたのだ。もらった上司は「あいつ、俺に気があるなぁ?」と割と前のめりだったが、明らかにお返し狙いだったので、女子一同は苦笑いだった。
一方で「バレンタインって女の本性がでますよ~」と話すのは東京都内で事務職として働く加藤理乃さん(29歳・仮名)だ。現在も義理チョコの文化が続く会社で、女性たちがいかに立ち回っているのか。今回は、意外としたたかな女性の世界を覗き見してみたい。
「みんなで合同チョコひとつ」の約束を若手社員が抜け駆け
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ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720
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