近年、発達障害に関する認知が高まり、「うちの子もそうかも」と、我が子の成長過程に関心を持つ親も増えている。しかし、障害の兆候に気づいていながら、その後の就学先やケアサービスへの不安から二の足を踏んでいる家庭も多いようだ。
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そこで、今回は「我が子は発達障害かもしれない」と悩んだときの相談窓口、実際に発達障害と診断された場合の就学先やケアサービスについて紹介する。
発達障害の専門医である宮尾益知氏(どんぐり発達クリニック・院長)も、「子どもの発達障害は早めの対策が症状の改善につながりやすい」と述べている。少しでも気になるようなら、早めの行動を心掛けたい。
シングルマザーでありながら発達障害・知的障害の息子「ぽんちゃん」を幸せにするために奮闘する
吉田可奈さんの場合も、早めの発見と行動が功を奏したケースの一つだ。3月6日に発売されたエッセイ『
うちの子、へん?発達障害・知的障害の子と生きる』ではその際の葛藤とポジティブシンキングに至るまでの経緯が克明かつリアルに描かれており、参考になるだろう。
主なルートは「自治体の相談窓口」と「医療機関」の2種類
相談窓口には主に2つのルートがある。ひとつは自治体の相談窓口。必要に応じて適切な相談窓口や専門医を紹介してくれるほか、アドバイスや発達判定を行う機関もある。もうひとつは検査や診察、確定診断を行う医療機関だ。
●自治体の相談窓口
<児童相談所>
子どもについてのさまざまな相談を受け付ける機関で、障害に関する相談だけでなく、しつけや性格などについての育成相談にも応じる。なかには発達障害の専門電話相談を設置している自治体も。
<発達障害者支援センター>
各都道府県に設置されている、発達障害児(者)への支援を総合的に行う専門的機関。保険、医療、福祉、教育、労働などの関係機関と連携し、発達障害児(者)とその家族からのさまざまな相談に応じ、指導や助言を行う。
<保健所・保健センター>
地域住民の健康の保持と促進を行う機関である保健所や、保健所の機能をより身近にした機関である保健センターでも、発達に関する相談を受け付けている。乳幼児はもちろん、学童期の子どもの相談も可能。
<教育相談所・教育センター>
各自治体に設置されている、教育に関する相談窓口。学習に関すること、不登校、いじめ、心理的な問題などとともに、発達障害の相談にも応じる。多くの機関で電話相談と来所相談の両方を行う。
●医療機関
<かかりつけの小児科>
子どもの成長の過程をよく知っているかかりつけ医は、相談しやすく頼れる存在だ。不安なことがあれば定期健診などを待たずに相談し、適切な相談窓口や専門医を紹介してもらうと良い。
<専門医>
発達障害は小児神経科や児童神経科が専門。日本小児神経学会のホームページで小児神経専門医と発達障害診察医師の名簿を公開しているので、近くの施設を探せる。発達障害外来などが置かれている総合病院もある。
病院や相談所などでは、まず最初に保護者から子どもの発育歴や家庭での様子、園や学校での様子、不安に感じていることなどを聞かれる。大事なことを伝え忘れないよう、事前にメモを用意したい。
健康保険証や母子健康手帳、健診などの検査結果のほか、専門医を受診する際はかかりつけ医に書いてもらった紹介状があるとスムーズ。子どもの普段の様子が記された園や学校との連絡ノート、育児ノートも役に立つ。
診断基準があるとはいえ、発達障害は特性の現れ方がそれぞれなので、すぐには確定診断が出ない場合も。数ヶ月通い、やっと診断がつくことも珍しくない。「様子見」となったら、家庭で注意して様子を見る点や、再受診のタイミングを確認しておきたい。