更新日:2023年05月24日 14:54
仕事

新卒1年で辞めた男性のその後「コロナのリモートワークがちょうどいい」

「できないことはできないので。ラクなのが一番大事」

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バイト先から支給されたMacBook Proで働く

「最初は週4で働くつもりでしたが、2~3月に関しては週3にしてもらっています。徐々に体を慣らし、週に何回休みがあるとちょうどいいのか試している段階です。採用早々、コロナの影響でリモートワークになり、出社したのは最初の1週間ほど。10時〜19時勤務で休憩1時間ですが、特にリモートになってから振られた作業を納期までに提出すればいいという雰囲気で、正直、暇な時間がかなり発生しています。できれば会社にはあまり行きたくないです。ずっとリモートでいいなって思います」  バイトならホワイトな働き方も確かに可能だろうが、経済面ではどうだろう。 「時給1400円なので仮に週5で働いたら約22万円、週4で約18万円なんですよ。週4でも前職と同じくらい給料もらえるので、もういいやと思って。試用期間中にリモートワークが始まったので、事務手続きとかすっ飛ばされていると思いますが、社会保険とかもありますし」  現在の支出は家賃6万円、食費1万~1.5万円、水道光熱費と通信費(WiFiと携帯)が1万円前後。前回の取材では「全ての買い物が無駄」という悟りまで開いていたが、当時の反省もしっかり活きているようだ。 「朝はコーンフレーク、昼と夜は蕎麦やスパゲティなどの乾麺。一人暮らしの定番メシです。交際費も月1万円以下で雑費など含め、月11万~12万円くらいです」  節約生活も簡単なことではないだろうが、いま一番ほしいものを聞くと「最近、服がほしいです。大学時代の先輩のお下がりばかりで、もう何年も買っていないので」とのことだった。
WiFiルーター

WiFiルーター(白い円筒形のもの)はここに置かないと回線が安定しないらしい

 今後の展望について、「十分満足していますが今の仕事で時給を上げて、できたら30歳までにバイトの掛け持ちも挑戦してみたいです。あと話し相手というか、シェアハウスのパートナーみたいな人がほしいなって若干思いますね。自分のことしか基本考えていないので、彼女ほしいとかはないですけど。阿佐ヶ谷姉妹みたいな部屋が隣同士で、付かず離れずみたいな関係にぼやっと憧れを持っています」と語るが、将来、再び社員になる道は考えていないのだろうか? 「いまの職場の距離感や働き方が僕には一番向いている気がします。仕事のプレッシャーもないし、あまり将来のことや世間体も気にしないタイプなので、不安も全くないです。今後も現在の仕事が忙しくならないことを望んでいます。できないことはできないので、ラクなのが一番大事だなと。忙しいのは無理ですね。頭を使うことやチームをまとめたりすることも嫌です」
部屋

晴れた昼間でも蛍光灯つけなければならないほど日当たりが悪いが、本人は特に気にしていない

 取材の終盤。今まさに社会に出る自信を失い、働くことに不安を抱く人たちに向けて、前田さんはこうアドバイスを送った。 「職場の男女比はわりと働きやすい職場の指標になるのかなと思いますね。いまのバイト先は社員さんも含めてほぼ女性ですけど、新卒で入社した会社も、前のIT企業も男女比9:1くらいで、パワハラが横行していましたから。女性だらけの職場がつらい的な話もありますけど、むしろ仕事に関しては男同士のほうがめんどくさいパターンが多い印象です。あと、メンタルが安定するので貯金はしたほうがいいですね」  世の中には彼のように考える人もいるのだ。日本でリモートワークが定着するよう願いたい。<取材・文・撮影/伊藤綾>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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