感染の恐怖にさらされるスーパーのパート主婦「私にも家族がいるのに…」
「もう限界。この仕事がこんなにも辛いと感じるのは初めてです」
そう現在の苦境を明かすのは笹川浩子さん(仮名・46歳)。彼女が勤めるのは都内のスーパーマーケット。新型コロナウイルスの脅威が深刻化した年始以降、笹川さんの職場は日に日にストレスフルになっているという。
同じく都内の大型スーパーにパート勤務する長谷川裕子さん(仮名・37歳)の職場も限界を迎えようとしている。
「うちの店舗はクレジットカードや電子マネーは対応していますが、それでもいまだに現金で支払う人のほうが多い。受け渡しの際には手も触れますし、信じられないかもしれませんがいまだに指を舐めてからお札を取り出す人もいます。会計の際は言葉も交わすので、唾だって飛んでいるはず。
にもかかわらず、備え付けの消毒液はありますが、ひっきりなしに来るお客さんをさばいていると使う時間も全然とれません。先日、同僚がひとり、過労で倒れてしまったため、パートなのにほとんど休みなく勤務するようになりましたが、コロナ以前に心労でダメになる人がこれからもっと出てくる気がしています」
「マスクやティッシュ、トイレットペーパーの慢性的な不足、そのイライラのはけ口に私たちはなっています。『いつになったら入荷するのか』『なんでひと家族、ひとつまでなのか』なんかはまだマシなほう。『マスクの在庫が実はあるんだろ。店員はいつもマスクしていられるってことはストックがあるんだろ』と詰め寄られたこともありました。
実際はスタッフたちに配布されるなんてことはなく、自作のものを使ったり、使い捨てマスクを何日も使い続けているだけ。そんな心ない言葉を投げかけられるたびに『こんな目にあってまで、なぜ続けないといけないんだろ』と自問しています」
当初はクレームにも耳を傾け、納得してもらえるよう対応していた笹川さんだが、次第に心を殺し、嵐が過ぎ去るのをただただ待つようになった。
「非常事態宣言のタイミングなど何か報道があるたびに、どっと買い溜めのお客さんが来ます。ピーク時は4~5時間はレジを打ちっぱなしというときもありました。なぜか家族総出で来る人たちも多く、理解に苦しみます。
留守番できない小さな子供がいて、それを面倒みる大人がいないというならまだわかるのですが、夫婦揃って子供も連れてくる家族も多く、『どちらかが家にいて、子供の面倒を見ればいいのになんで……』と。
ただ、イライラが募ったのも最初のうちでだんだんと何も思わなくなってきています。マスクやトイレットペーパーの入荷がないこと、営業時間が短縮されること、インスタント食品が品薄なこと……すべて私たち現場の人間にはどうしようもないことですが、そのことは誰も理解してくれません」
「感染リスクは病院と変わらないのでは…」
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