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エスカレートする“自粛警察”。帰省したら町内会長に通報…の怖さ

 コロナ禍の現在、“自粛警察”と呼ばれる存在が目を光らせている。緊急事態宣言が延長され、政府や自治体からの自粛要請が続くなか、外出している人を非難して吊るし上げたり、営業している店舗に貼り紙をして警告したりするなど、その実態をテレビなどのメディアがこぞって報じている。
サイレン

※写真はイメージです(以下同)

 対岸の火事のごとく「ヒマな奴がいるもんだ」などと見ている人も多いだろうが、実際に遭遇してみると、とてつもない恐怖を感じるのだという。

エスカレートする“自粛警察”の取り締まり

「私は感染症病棟に看護師として勤務しています。3月の終わり頃から、病院の寮に泊まって勤務するようになり、自宅に帰るのは週末1日だけ。その日も勤務を終えて、1週間分の着替えなどをキャリーバッグにつめて、電車で自宅に帰っていたんですが……」  看護師の木本さやかさん(仮名・20代)は、東京都内の新型コロナウイルス感染患者を受け入れる病棟に勤めており、最前線で戦っている最中だ。ほぼ休みなく働き、1週間の勤務を終えれば自宅に帰り、掃除や洗濯をしてまた病院に戻るというハードな日々を送る。そんな木本さんに追い討ちをかけたのは“自粛警察”だった。 「電車に乗っていると、向かいに座っている中年女性二人組が私を見てヒソヒソ話をしていたんです。あまりにもあからさまだから、『どうかしましたか?』と聞くと『若いからって旅行なんかに行って』とか『人の迷惑を考えたらどう』って。『旅行ではなく仕事です』と伝えても反論されて。  医療関係者です、と喉元まで出かかりましたが、今度は差別されるかも知れないと思い、逃げるように電車をおりました。ギリギリ限界のところでなんとか頑張っているのに、あんまりです」(木本さん)  中年女性は、木本さんが人々のために昼夜働いている事実を知る由もないが、とはいえ、見知らぬ人を偏見や思い込みだけで“攻撃”したのだ。  そんな自粛警察の行動は日々エスカレートしている。千葉県在住で居酒屋を営む野間幸太郎さん(仮名・40代)は、コロナの影響で完全休業を決めた。 休業 しかし、たとえコロナが収束しても、自粛警察の存在で営業再開に対して不安を感じているという。 「緊急事態宣言が出て以降は、夜営業は止めて、昼に弁当の販売をしていました。4月の終わり頃、自宅で仕込んだ食材を持って店に行くと、知らない中年の男女数人が店の前で待ち構えていました」(野間さん、以下同)  どこからやってきたのかわからないが、野間さんに開口一番「弁当でコロナ感染したらどう責任を取るのか」と迫ったきたのだ。  消毒もしているし、マスクもつけている、感染の予防対策にじゅうぶん気をつけていると反論しても、男女は畳み掛けるようにこう言い放った。 「ぜんぶ消毒しているのなら、コロナがいないという証拠を見せろと。そんな証拠は出せないと返せば、コロナ弁当を売るな、なんて言われて。悔しくて悔しくて。近隣でランチ営業や弁当販売をしていた店にも、例の人たちがやってきたり、電話をかけてきたそうで、翌日に店に行くと『営業するな』『ウイルスを撒き散らすな』などという貼り紙まで張られていました」  折れそうな心で、なんとか弁当販売を続けていたが、結局、売り上げは思うようには上がらなかった。そして完全休業を決め、店に残った食材の処理をしていたが、またもや例の自粛警察がやってきた。 「断腸の思い、それこそ涙しながら仕入れた食材の廃棄をやっていると、今度はあの男女が裏口から厨房の方を覗いていたんです。『まだ営業しているのか』と言われたもんですから、もう我慢の限界でした。『あんたらのおかげで首吊って死ぬよ』と思わず怒鳴ってしまいました。なんなんでしょうね、あの人たちは。コロナ明け、ああいった人たちから嫌がらせを受けないか、今から不安なんです」
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帰省すると町内会長に“通報”があった
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