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FC琉球・小野伸二「離れていても変わらない家族への気持ちと自分の心」

 アスリートが高いパフォーマンスを実現するためには、家族のサポートは不可欠とも言われる。家族がアスリートを支え、アスリートは家族のためにプレーする……と、モチベーションを高める。小野伸二にとって家族とはどんな存在なのだろうか。

離れていても変わらない家族への気持ちと自分の心

 実は僕、ドイツのときから単身なので、かれこれ12年くらいずっと“単身赴任”なんですよ。そんな僕が言うのはおかしいかもしれませんが、仕事と家族は別といった考えに対して、僕はあまりそういったことを考えたことがないんです。むしろ「自分には家族がいる」ということで、今の自分が存在しているんだな……ということを頭のどこかで意識できているんじゃないかなって思います。  今も単身で沖縄に来ているので家族とは離れています。でも、離れていてもいつも応援してくれていると感じています。だから、家族とは離れていても、いつも結ばれているという思いがあるんです。僕が安心してサッカーをやれる、集中できる環境があるのも、やっぱり家族のおかげです。だからこそ、より頑張らなくちゃいけないんだなと。  もちろん、家族と一緒にいられたらそれに越したことはないです。でも、離れているからこそ、家族の大切さをより感じられるのかなとも思います。

唯一無二の家族の存在と変わらぬ心

――こうしてサッカーができるのも家族があってのことと語る小野伸二。家族の存在はかけがえのないものに違いない。  移籍なども含めて、僕が決めることに対して、家族が何かを言ってくることってあまりないんです。相談はしますが、最終的には自分で決めます。でも、僕がやると決めたことに関しては、すごく応援してくれます。だから自分としても責任を持って決めなければいけないという思いはあります。まぁ、奥さんにとっては、あまり単身で行ってほしくないみたいですけどね(苦笑)。  でも、僕が普段家にいない分、奥さんがきちんと役割を果たしてくれていることについては、本当に感謝しています。そして、常に僕のことをリスペクトしてくれていることも、僕にとってはすごく嬉しいことです。最近では、奥さんのそういう気持ちが子供たちにも伝わっているのが、とても嬉しいんです。  子供たちがだんだんと大きくなってくるにつれ、嬉しいことにパパがサッカー選手だということを誇りに思ってくれていたりします。そして、ありがたいことに僕たちに対してそういった感謝の気持ちを伝えてくれたり……。そんな子供たちの姿を見たら、自分も頑張ってやっていかなくては、という気持ちが自然と芽生えますよね。 ――だが、小野伸二は「家族がいても変わらない」とも語る。小野伸二にとって「変わらないこと」とは、いったい何を意味するのだろうか。  僕はシーズン中だろうとオフだろうと、子供たちといても一人でいても、何も変わらないんです。家族と一緒にいるからこうしよう、子供たちがいるからこうしなきゃダメだ……みたいなことは考えていないんです。「僕は僕」という考えとでもいうんでしょうか。離れていても、一緒にいても家族を思う気持ちは変わりません。だから長いこと単身でもできるのかもしれませんね。  もちろん、家族がわざわざ足を運んで試合を観に来てくれたときはいいプレーを見せたいという思いはあります。でも、家族が来ているから自分が劇的に変わるとも思ってはいないんです。僕がそうだからなのか「人間は変わらない」という考えが僕の中にあって、逆に変われる人はすごいなぁって思うくらいです。  でも家族が来たら、得点をしていいところを見せたい思いは常にありますけど(笑)。
’79年、静岡県沼津市出身。’93年にU-16日本代表に選出され、その後も各年代の代表として活躍。清水商業卒業後は浦和レッズに入団。その後、オランダ、ドイツ、オーストラリアなどのチームを渡り歩き、昨年8月に北海道コンサドーレ札幌からFC琉球へ移籍した
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