仕事

カツ丼をタクシー会社が届ける…コロナ禍で“本業以外”に見出した活路

 新型コロナウイルスは世の中に深刻な影響を与えた。飲食店は休業や閉店に追い込まれ、大小を問わず会社が倒産する事例も珍しくない。しかしながら、生き残る道を模索するなかで、本業とは別の、全く新しい仕事に挑戦する企業も現れた。

タクシー会社が食料品のデリバリーを開始

タクシー

タクシー会社が食料品を運ぶサービスを開始。カツ丼店と手を組んだ(写真提供/スターハイヤー株式会社)

 これまでタクシーやハイヤー事業を行ってきた兵庫県神戸市の「スターハイヤー株式会社」では、タクシーを使った買い物代行サービス、そして『ハイヤーイーツ』という食料品を運ぶサービスを開始した。  タクシーは“3密”空間となることから利用者が激減。国土交通省は4月、特例措置としてタクシーでの食料品の配送を認めた。そこでスターハイヤー株式会社は許認可を受けたという。まずはカツ丼店とコラボレーションし、神戸市全区域でサービスをスタートさせた。 「弊社にとって過去に例のない取り組みだったので、初めて注文を頂いた時は素直に嬉しかったです」(広報担当者、以下同)  タクシー業務の売り上げは前年度に比べて今年3月が26%減、4月は55%減。そこで臨時休車などでコストカットする方針を固めた。その一方、この状況でも出来ることはないものかと思案した。 「タクシーでの“移動”という形で、少しでも皆様のお役に立てればと考えました。先日、国交省特例措置の延長が告げられました。今後はもっと提携飲食店さんを増やしたいと思っています」  ハイヤーイーツには、なんと警察署からもカツ丼の注文があったそうだ。取り調べ室で容疑者に提供されたのだろうか、などと余計な想像をしてしまう。  コロナ禍は終わりが見えず、今後もしばらく続いていきそうだが「移動の新たな可能性を考える時間にしていきたい」と意気込んだ。 

大正5年創業の染物店が、布マスク専用洗剤を開発

ソメラボ

洗剤メーカーと共同で布マスク専用の洗剤を開発。写真は、ソメラボのTwitter(@somelab1972)より

 以前とは異なるものに活路を見出したのは歴史ある企業も例外ではない。  大正5年創業の「岩瀬商店」。普段は企業向けの染料販売や、個人向けのネット販売、そのほかにも染物体験ができる「ソメラボ」という店を運営してきた。  今回の新型コロナでは巣ごもり特需か、ネットで販売している商品の売り上げが好調だった。前年比230%を達したが、一方で企業向けの売り上げは減少。ソメラボは完全クローズに追い込まれ、会社全体の売り上げは落ち込んだ。  しかし、緊急事態宣言後もソメラボにはしばしば客がやってきた。閉店中のため、残念ながら対応ができなかった。せっかく来てくれた客を手ぶらで帰すことが心苦しかったという。  そこで岩瀬商店は少しでも感謝の気持ちを伝えようと、ノベルティとして布マスクウォッシュ(布マスク専用洗剤)を製作しプレゼントすることにした。洗剤メーカーと共同で開発し、ラベルは知り合いのデザイナーが特別にデザインをした。 「まずは身近な方に配布したのですが、SNSでの反響が大きくて。1回しか会ったことがない人たちも『くれ~』とやって来るんです。そこで、地元では今後、会社の屋外で“無人の野菜直売所”みたいに販売する予定です」(広報担当者)  現在は地元の織物工場とプリーツ加工場・縫製工場、洗剤メーカーの協力を得るなど、繊維業界の力を結集し、ゴムが入っていないプリーツマスクを開発中とのこと。
プリーツマスク

ゴムの入っていないプリーツマスク。写真は、ソメラボのTwitter(@somelab1972)より

 しかし、品質にこだわるあまり、原価が跳ね上がっているのだとか。ともあれ、知恵を絞り合い、危機を乗り越えようとしていた。
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オープン間もないラーメン屋が弁当販売に挑戦
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