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オープン間もないラーメン屋が弁当販売に挑戦

ラーメン

チャーシューや煮卵など、ラーメンの具材が入った弁当。写真は、ラーメン 成り上がれ
のTwitter(@nariagare_no01)より

 弁当の中には、分厚いチャーシューに餃子。そして黄金に輝く煮卵。どこかで見覚えのある具材のラインナップ。販売するのは、東京都北区のラーメン店「ラーメン 成り上がれ」だ。 「チャーシューが肉厚で食べ応えあるお肉なので、ランチのお弁当で安くてボリュームあるお弁当をワンコインで食べていただきたいと思いまして」(広報担当者、以下同)  今年2月オープンしたばかりだが、その1か月後には弁当販売を開始。新型コロナの中でも働く人や、子育てで大変な人の役に立ちたい一心で始めた。老若男女が買い求めにくる弁当だが、日々の苦労は絶えないという。 「オープンしたばかりで認知度も低いのに、いきなり自粛の流れから時短営業。毎月の固定費などは支払いがあるのに、収入は激減です」  1日で8個~16個ほど売れているが、毎月の固定費の支払い分である約60万円弱程度しか売り上げはない。 「ある程度、補償が明確になり、速やかに休業できるのであればいいが、そうではないですよね。補償対象になるのかならないのか。家庭や生活もあるのに、不安しかないです」  また、多くの飲食店がほぼ同じタイミングでテイクアウトやお弁当などを始めたことで、競争は激化。店の付近には350円で弁当を販売する店があり、「お弁当を販売しても本当に買ってもらえるのか? いくつ売れるのか? 価格は?」など悩みも尽きなかったそうだ。  そんな中でも客からの声が大きな励みになっている。 「お店にいらっしゃったお客様からは、『今は大変な時期ですが、成り上がれさん好きなんで頑張ってくださいね』とか、Twitterなどでも『チャーシュー弁当はボリューム満点で、コスパ最高で大好きです!』と温かいお言葉をいただき本当に嬉しく思っています」  多くの飲食店が新型コロナの荒波に揉まれている最中だ。しかしこの危機のおかげで、当初取り組んでいなかったテイクアウトやお弁当販売などに挑戦することができた。同店は、この状況を前向きに捉えていた。 「我々は新しいメニューの開発や、味の改良、どうしたらお客様に喜んでもらえるかなど日々考え取り組んでいきます。もう少しだと思います。皆で協力して頑張って乗り切りましょう。やはり止まない雨はないと思います、必ず終息は来ると思います」  止まない雨はなく、明けない夜もない。前向きに、普通の日々が送れる日をじっと待とう。<取材・文/星谷なな>
5歳の頃からサスペンスドラマを嗜むフリーライター。餃子大好き27歳。 たまに写真も撮ります。
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