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「昭和をもう一回見直せ」井筒監督、8年ぶりの新作『無頼』は昭和ヤクザの群像劇

『無頼 BURAI』は僕なりの仁義なき戦いであり、ゴッドファーザー

『無頼 BURAI』は僕なりの仁義なき戦いであり、ゴッドファーザー

「監督としての集大成」と語る最新作をひっ提げ、井筒和幸監督が映画界に帰ってきた。前作『黄金を抱いて翔べ』から実に8年ぶりとなる本作『無頼』は、激動の昭和を駆け抜けたヤクザ者たちの群像劇。令和も2年だというのに、いささか時代錯誤なテーマにも思えるが、監督の中では長年温めてきた構想で満を持して放ったのだという。 「20年ぐらい前からずっとヤクザもの、大人の不良ものを撮りたかったんだ。まして僕は、青春のど真ん中に『ゴッドファーザー』と『仁義なき戦い』(笠原和夫脚本4部作)を集中講座のように観た人間。当時の若者は、その稼業がよくわからなくても、世の中ってみんな必死で生きとんねんな、俺みたいなプー太郎はどうやって生きていけばいいんだろ、命懸けで生きるってどういうことか、みたいなことを肌で感じたし、そういうことを教えてくれたのがその2本だった。『無頼』はコッポラや深作欣二、笠原和夫へのオマージュなんです」  本作に登場する総勢400余人の俳優たちは、すべてオーディションで選ばれた。予備知識ゼロで観た場合、主演を務めるEXILEの松本利夫や木下ほうかやラサール石井はわかるとしても、あとは一部を除いてあまり見たことのない俳優たちが続々登場する。妻夫木聡、西田敏行ら豪華キャストで挑んだ前作『黄金を抱いて翔べ』とは真逆のアプローチだ。 「俺の『仁義ある戦い』を描くわけだから、深作さんら先達への“返杯映画”にするなら妻夫木とか西田さんじゃないだろうと。深作さんは京都の大部屋の無名俳優を使ったわけでしょ。そりゃ西島(秀俊)とか誰とかは頭に浮かんだよ。でも、今みんなコマーシャル契約があるから、ヤクザものは出れませんって平然と言うからね。だったら、僕の理想の全員が無名の映画でいいんじゃないのって」

松本利夫を起用した狙い

 そんな中、主演に松本利夫を起用したのには何か狙いがあったのか。 「そういうわけでもなくて。7年前、EXILEのドーム公演に呼んでもらった時に、彼らのマネジャーから、役者として松ちゃんを推薦されたんだわ。『無頼』のキャストは全部オーディションで決めたろと思ってはいたんだけど、さすがに、主人公の親分ぐらいは誰かいないかと思ってたら、松ちゃんが浮かんで。彼は、今回は全シーン、捨て身で演じてくれて、役者の鑑という感じでしたよ」  また、松本の脇を固める柳ゆり菜、元BLANKEY JET CITYのドラマー・中村達也などもオーディション組なのだという。 「ふたりとも自ら来てくれた。僕はいつもオーディションに立ち会わず、井筒組演出部“若頭”(チーフ助監督)から報告を受けるんだけど、達也さんの時も『すごくいい兄貴が見つかった!』って報告受けて。彼はホントに研究熱心というか、練習一筋。寝ても覚めてもセリフを暗唱してたね。だからこそ、あそこまでの名ドラマーなんでしょうね」
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昭和をもう一度見直せ!
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【無頼】
’20年/日本/2時間26分 監督/井筒和幸 出演/松本利夫、柳ゆり菜、中村達也ほか 配給/チッチオフィルム
12月12日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次ロードショー
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