コロナで仕事がなくなったベテランライター。派遣でも雇い止め、生活保護寸前に
新型コロナウイルス感染拡大による休業や雇止めなどの生活困窮者は、フリーランスをはじめとする個人事業主にも拡大していった。手に職を持つ専門家も「明日どうやって生きていこう」と追い詰められたというから、多くの職業に“コロナショック”が及んだことは間違いない。
「コロナ前の昨年10月、それまで受注していたレギュラーの仕事が激減し、しかも田舎の母親が体調を壊したため、実家と東京を行き来して看病と仕事の両立を余儀なくされました」
そのため貯金を切り崩した竹内さんは、年明けから品川区にある大手出版社で週3回の派遣業務を開始した。主な仕事内容は書籍の校正や、原稿整理、リサーチなどがメイン。本業の執筆活動を支えるための糧だった。
「でも、感染拡大で私が執筆していた媒体がコロナ一色の記事ばかりになりました。得意としているインタビュー案件の企画が通らなくなったんです。ライターは、原稿の企画が通り、原稿を納品してから原稿料が振り込まれます。私はそれまで、そのメディアに月15本以上執筆していましたが、5本、3本としりすぼみになっていきました」
緊急事態宣言が発令されると、週3日の派遣が、週2日のリモート、週1日の出社に変更になった。担当書籍の校了が8月末。それまで「定期的な収入がある」と竹内さんは信じ込んでいたという。
ところが5月1日に出社すると、派遣会社を通じて雇止めを言い渡されたのだ。
「5月いっぱいで終了と派遣会社からメールがきました。理由は、求めていたスキルが不足しているとのこと。あいまいな表現だったので派遣会社に問い合わせると『パソコン打ちが遅いから』というものでした。長年PCを使った仕事をやってきたので、業務に支障が出るほど遅いというわけではなかったと思うのですが……」
「雇止めを宣告されたときは、目の前が真っ暗になりましたね」
仕事を探すにも、時は外出自粛期間。しかもゴールデンウィーク中は企業の活動もストップしているため、求人もない。
ライター歴20年近いベテランライターの竹内ゆきなさん(仮名)もその一人だ。コロナ禍で、生活保護受給を覚悟したという彼女に話を聞いてみた。
仕事が激減、派遣でも突然の雇い止め
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