仕事

コンビニの派遣店員、セルフレジ導入で「シフトが減って業務量は増えた」

店長はダンボールの上で寝ていた

段ボール 以前、都内の別のコンビニに深夜の時間帯にバイトに行ったときのこと。そこの店長は憔悴した顔で僕にこう言った。 「悪いけど、今日はしばらくワンオペでお願いね」 「え、店長は帰るんですか?」 「一応、店にはいるけど、ちょっと休ませてもらうよ」  その店で働くのははじめてだったが、同じチェーンならばどの店もやることは基本的に同じである。そのため、ワンオペでも特に問題はなかった。  ただ、物の置き場所だけは店によって異なる。収納代行を受け付けてからその店控えを保管する場所がわからなかったので、店長に聞くためにバックルームに入った。すると、彼は床にダンボールを敷いてその上でぐっすりと寝ていた。そしてその上の壁には「○○店長、頑張れ!」という貼り紙。  その光景だけで彼がどれだけ過酷な長時間労働をさせられているかは容易に想像できた。店控えの保管場所を聞くためだけに起こすのは気が引けたので、店控えは適当な場所に置いて仕事に戻った。  他にも、死んだ魚のような目をした店長、ずっとぶつぶつ独り言を言っている店長、ウォークイン冷蔵庫の中でひとり不気味に笑っている店長……などさまざまなコンビニ店長を見てきた。もとからそういう人だったというケースもあるのかもしれないが、長時間労働でおかしくなってしまった店長も決して少なくないと思うのである。  しかし、セルフレジの導入により、彼らの労働環境もかなり改善されているはずである。ダンボールで寝ていた店長も今頃はふかふかのベッドで寝られるようになっているだろう、たぶん……。<文/小林ていじ>
バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeチャンネル「ていじの世界散歩」。100均グッズ研究家。
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