仕事

転職回数25回。「人生すべてが黒歴史」と語る45歳男性の半生

両親の介護と向き合いながら、地元で終える人生

 そんな足立さん、ご両親はすでに70代になっており、今後は介護なども検討していかなくてはならないという。 「自分にできる仕事を探し求めて、2020年7月、東京でタクシーの運転手として働くために上京しました。しかしその後すぐに母親が倒れてしまい、1か月と働かずに地元に戻ってきました。もっとも、コロナ禍の東京におけるタクシー業界は想像以上に閑古鳥が鳴いている状態で、歩合制で働くにはあまりに難しそうだったので、ある意味地元に戻ってきてよかったのかもしれませんが……。幸い母も大事に至るような状態ではありませんでしたが、年齢も考えるといつどうなるか分からない。母の不調を受け、もう今後は地元以外の土地で暮らすことはないのだろうなと思っています」 介護 実家に住めば、家賃はかからず最低限の暮らしは送れる。しかし、両親が要介護状態になった時に、老人ホームを利用できるお金があるかといえばなんとも言えないところで、自身にも全く貯金がなく、なるべく自分の身体を動かして介護していくしかないと考えているそうだ。

この先どうなってしまうのか…

「30代の頃には、副業として金融商品の売買をやったこともあるのですが、結局多重債務を抱えてしまったこともあります。小規模個人再生の制度を利用して額は小さくなったので、分割でなんとか返しきったところです。そんな理由もあって、ローンを組むことすらできないんです。  どこで働いてもうまくいかない。自分のことを人間にクズだ、と思ってしまう。正直、自己肯定感のようなものが、自分に対して全く持てません。責任能力のない私ですから、この先結婚という未来もないでしょう。今は傷害保険手帳のおかげで、長めの雇用保険を受給することはできるけれど……。この先探す仕事もどのくらい続くか分からないし、両親は自分より先に逝ってしまう。その事実だけで、生きていく理由が分からなくなりそうになることもある」  雇用保険の受給期限は、最短で2021年の3月だそうだ。その頃世間がどのくらい新型コロナに侵されているのかも分からない。今はただコロナで減った有効求人数が、雇用保険の受給期間内に戻ってくることを願うばかりだという。<取材・文/ミクニシオリ>
1992年生まれ・フリーライター。ファッション誌編集に携ったのち、2017年からライター・編集として独立。週刊誌やWEBメディアに恋愛考察記事を寄稿しながら、一般人取材も多く行うノンフィクションライター。ナイトワークや貧困に関する取材も多く行っている。自身のSNSでは恋愛・性愛に関するカウンセリングも行う。
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