コロナ禍で進む「若者の東京離れ」「郊外が人気」報道が不快な人たち
いま「若者の東京離れ」「コロナで田舎への移住が加速」などのメディア報道が目立つようにもなってきた。多くの企業でテレワークが推進されており、出勤人数や日数に制限を設けるところも出てきた。交通費にかんしてもその制限内で支給されるとなれば、出社するだけ時間とお金の無駄……と考えるのは自然なことなのかもしれない。
「なにが“東京離れ”だよ。田舎から勝手に出てきておいて、人が多すぎるだのなんだの……」
そんなメディア報道を見て愚痴をこぼすのは、生まれも育ちも東京都台東区上野、筋金入りの江戸っ子である飲食店店主の堀口義仁さん(70代・仮名)である。
「人が多すぎて密なのは、田舎モンが揃いも揃って東京に出てきているからだろうがって言いたいよ。コロナに限らず、水がまずいだの空気が汚いだの土地が狭いだの、好き勝手に言いやがってよ。東京に来てくださいって頼んだ覚えはないんだから」(堀口さん)
そんな怒りにも似た意見を口にするのは、堀口さんのような江戸っ子ばかりではない。東京のお隣、埼玉県在住の投資業・佐藤雄作さん(仮名・40代)の嘆き。
「都内にアパート三棟、ワンルームマンションを10部屋ほど所有していますが、コロナで住人の仕事がなくなったとかで、家賃の未払いが出始めています。今のところ、家賃の保証会社が間に入ってくれているのでいいですが、このまま未払いが続いたり、住人が出て行ったりしたら、私の生活は即破綻。今までは大家業だと踏ん反り返っていたんですがね……。東京離れなんてほんと勘弁して欲しい。メディアはもっと、東京の便利さとか、東京がいかに都会で国際的か、アピールしないと! 東京がダメになると、日本がダメになる!」(佐藤さん)
テレワークのおかげで会社への通勤時間が重要ではなくなってくれば、もはや都心部に住む必要さえもなくなる。その結果、田舎や郊外を選ぶ若者たちが出てきても当然の流れなのだが……。
コロナ禍で「若者の東京離れ」が加速
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