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信号無視、Uber Eats配達員の交通マナー問題を「静岡」で痛感

収入ゼロの日が続いて焦る

 8日目、少し早起きして宿を出発する。この日の目的地は静岡市である。ここでようやくUber Eatsの配達エリアになる。早く配達して旅費を稼がなければと気が焦る。  しかし、その進行速度は亀のようにゆっくりしていた。宿を出てから静岡市のほうに向かう道はいきなりの急勾配の上り坂だったのである。自分のリュックとウーバーのバッグ合わせて総重量約10キロの荷物を背負った状態での上り坂は本当にきつい。出発早々、顎の先から汗がポタポタと零れ落ちる。  シャツの汗染みが全面に広がる頃になってようやく上り坂の頂上に到達した。そこからはボーナスタイム突入とばかりに下り坂が延々と続き、風を切って凄まじい勢いで駆け下りていった。  やがてまた海沿いの道に出た。聞こえてくるのは穏やかな波の音とカモメの鳴き声。海から吹き付ける風がたまらなく気持ちいい。
ヒトヤ堂

この日ヒトヤ堂の喫茶店は定休日で、店内の客は僕ひとり

 そして静岡市に到着。予約していた宿は静岡駅近くの「泊まれる純喫茶ヒトヤ堂」である。古いビルを改装して作られており、1階が喫茶店、2階と3階がゲストハウスになっている。
昭和レトロ

外観からしてすでに昭和レトロな雰囲気のヒトヤ堂

 昭和レトロな内装や調度品でまとめられたオシャレな店内。しかし、僕はその雰囲気を楽しむよりも先にドミトリールームのベッドに横になった。熱海の峠越えでとにかく疲れていた。それに翌日からはこの静岡市で配達をしなければならないのですぐに体を休めたかったのである。  9日目、ベッドから起きると、1階の喫茶店でコーヒーとトーストがセットになったモーニングを注文する。朝の新鮮な光で満たされた店内で女性スタッフがロートとフラスコを使用して淹れてくれたサイフォン式コーヒーをいただいた。

静岡市は坂道がほとんどなく、配達がしやすい

静岡駅

静岡駅周辺は飲食店が多く、Uber Eats配達員の姿もちらほら

 そしていよいよ配達開始。ウーバーのバッグを背負って自転車に乗る。鎌倉では台風でずっと雨だったので、配達するのは久しぶりな感じがした。さて、この静岡市ではいったいどのくらい稼げるのか。もしここでも稼げなかったら旅費が底をついてゲームオーバーになってしまうかもしれない……。  少しばかりの不安を感じながら、飲食店やショップの建ち並ぶ繁華な通りを自転車でゆっくりと走った。しばらくして最初の配達リクエストが入り、そのあともかなり順調にリクエストが入り続けた。  走ってみて気付いたのだが、静岡市にはほとんど坂道がなかった。これが自転車で配達している僕にとっては本当にありがたいことだった。道が平坦だとどんなに走ってもそれほど疲れることがないのである。
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Uber Eats配達員の交通マナー問題
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バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeチャンネル「ていじの世界散歩」。100均グッズ研究家。

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