Uber Eats配達員の嘆き、「鎌倉」が1日約4000円しか稼げないワケ
コロナは一向に収束の気配を見せない。僕は普段、日雇い派遣の仕事などで稼ぎつつ、時間を見つけてはタイなどの東南アジアを中心に旅をしてきた。
海外旅行に行けるのはまだかなり先になってしまいそうだが、日本国内ならば比較的自由に旅できるようになってきている。僕も旅がしたかった。しかし、社会の底辺で生きる僕にはお金がない。そこで、「Uber Eats」の配達で旅費を稼ぎながら国内を自転車で旅するという方法をとることにした。
その配達エリアは東京をはじめ、静岡、名古屋、京都、大阪、愛媛、福岡、沖縄……と日本各地に徐々に広がってきているのだ。
旅立ちの前に試しに東京で少しUber Eatsの配達をやってみたのだが、1日でだいたい1万円くらいは稼ぐことができた。他のエリアでもこのくらい稼げるのかどうかわからないが、最低でもその日の宿泊費と食費くらいは稼げるのではないだろうか。
2020年10月5日、僕は自分の荷物の入ったバッグとUber Eatsのバッグを背負い、東京の両国をクロスバイクで出発した。ゴールは沖縄。所持金は3万円である。あとの旅費は旅の先々で稼ぎながらやりくりする。初日はとりあえず鎌倉を目指すことにした。鎌倉もUber Eatsの配達エリアなのである。
横浜を過ぎたあたりから流れていく景色に徐々に変化が現れはじめた。高層ビルがその姿を消していき、代わりに緑が増えていく。トンネルを抜け、急勾配の坂道をぎゅんぎゅんと猛スピードで駆け下りていく。
沿道にショップの建ち並ぶ大通りに出た。通りの中央部分は石垣で高く盛り上げられ、その上に街路樹と石灯籠が並んでいる。鶴岡八幡宮から長く伸びる参道である。
そこを真っ直ぐ進んでいくと波の音が聞こえてくる。やがて視界に広がる海。真っ暗な砂浜に夕日の色を微かに滲ませた波が打ち寄せ、海岸沿いの山は夕焼けの空を背景にしてそのなだらかな稜線を露にしている。その麓に鎌倉の街の明かりが散りばめられていた。
この日から5泊予約してあった「IZA鎌倉ゲストハウス&バー」はこの海岸のすぐ近くに位置していた。レンガの外壁で内装や調度品はヨーロピアン調でまとめられたオシャレなゲストハウスである。この日、二段ベッドの並ぶドミトリールームには僕以外に宿泊客がいなかったので部屋を独り占めすることができた。
館内にはバーを併設していた。そこで宿のスタッフと旅の話などをしながらかなり夜遅くまで酒を飲み、それから就寝した。
所持金3万円で東京を出発
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バイオレンスものや歴史ものの小説を書いてます。詳しくはTwitterのアカウント@kobayashiteijiで。趣味でYouTuberもやってます。YouTubeチャンネル「ていじの世界散歩」。100均グッズ研究家。
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