仕事

インドの現地スタッフ350人「切り抜きjp」完全テレワークへの悪戦苦闘

パソコンの電源の入れ方から教える

インド IT大国のイメージもあるインドだが、もともと雇用の少ない農村地域に作業拠点があるため、1回のジョブフェアで700人分の履歴書が来ることもあるという。昨年12月にはインド農村部の雇用を創出したとして、地元有力紙に表彰された。 「都市部は理工系の有名校も多く、ITの道に進むことがステータスになっています。ですが、オフィスがある農村部はパソコンに触ったことがある人も少ないような地域なので、まずは電源の入れ方から教えることになります。現地スタッフは正社員で雇用していて、月収は2~3万円。インド農村部の平均月収と同等か、それよりも少し上という感覚でしょうか」  切り抜き作業の大変さ自体は日本人もインド人も変わらないはずだが、そんな収入感もあってか現地スタッフは基本的にほぼ辞めずに、長く働き続けてくれるそうだ。 「仕事を辞めて農村部から都市部へ出稼ぎに行く人もいますが、都市部は極端に物価が高いので、“出戻り社員”も多いです。女性の場合はお見合い結婚で、全く違う地域へ急に嫁ぐことになったから辞める、というパターンが多いですね。  インドに作業拠点を立ち上げた当初から多くの人が応募してくれましたし、技術的なことにも熱心に取り組んでくれます。真面目でコツコツ働いてくれるので、文化が違ってもやりにくいと感じたことは特になかったです」

インド全土でロックダウン、社員のコロナ感染も

渡邉堅一郎

株式会社メディア・バックオフィスの渡邉堅一郎社長(撮影/藤井厚年)

 2006年の創業より右肩上がりで成長してきた「切り抜きjp」だが、3月下旬には新型コロナウイルス感染拡大により、インド全土でロックダウンが実施。突然のサービス停止を余儀なくされた。 「急に受注できなくなってしまい、取引先の中には相当内部で苦労したところもあったようで。Twitterでトレンドになるほどの騒ぎとなりました。本当に申し訳なかったですが、やりようがなかったです。インド政府のロックダウンは宣言の4時間後から義務化という感じでしたね」  ロックダウン解除を機に5月5日からサービスを再開した。しかし、急なサービス停止による顧客離れや、日本の緊急事態宣言に伴う企業の休業などの影響を受けた。さらには、現地社員の感染で支社が2週間に渡って閉鎖される事態も発生。  売上の目処が立てられない状況に陥った。 「サービス再開直後も仕事がなく、約半数の従業員を1か月間レイオフ(一時解雇)しました。インドの雇用法は日本以上に厳しくて、コロナを理由に解雇したらペナルティもあるような感じなので。なるべく有給休暇の溜まっている在籍歴の長い社員を一時解雇し、有給で彼らの給料を補填するようにしましたね」  現地社員の安全と安定した雇用の確保、事業の存続をかけて渡邉氏は業務のテレワーク化を決断。とはいえ、そこはインドの農村部。一筋縄ではいかなかった。
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テレワーク化に向けて社員の自宅にアンテナを設置
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