仕事

インドの現地スタッフ350人「切り抜きjp」完全テレワークへの悪戦苦闘

テレワーク化に向けて社員の自宅にアンテナを設置

社員自宅のアンテナ

社員自宅のアンテナ

 そもそも各家庭にインターネットが普及していない農村地域。そこで大容量データのスピーディな送受信を実現することはできるのだろうか……。試行錯誤の連続だったという。  支社間を結ぶオフィス直結の無線閉域ネットワーク(※インターネットには繋がっておらず、限られた利用者のみが接続可能な広域通信網)を各社員の自宅エリアまで拡大させるため、6月下旬に通信設備会社の協力でアンテナ・通信機器を各社員の自宅へ設置した。
オフィス無線塔

オフィス無線塔

アクセスポイント

周辺地域に複数のアクセスポイントを設置

 こうして自社専用の閉域ネットワークを構築することで、インターネットに依存せず、安定した通信速度で大容量データのやりとりが可能となった。  また、もともと画像データの漏洩を防止するため、セキュリティ対策には十分取り組んでいたそうだが、テレワーク環境向けにセキュリティも強化。現在は安定したサービス提供に成功している。 「各社員に会社のパソコンを支給しています。停電もよく起きる地域なので急に電気が落ちても作業データが消えないよう、パソコンの中のバッテリーも調達しました。新人のトレーニングなどテレワークの課題もありますが、インドで再びロックダウンがあっても仕事が止まることはないのかと思います。  やはり仕事効率はオフィスのほうがいいようで『オフィスに戻りたい』という従業員の声も多いみたいですが。パソコンが並ぶ比較的“密”な職場でもありますし、当面はテレワークになるかなと思います」

コロナ禍からV字回復、アフリカ拠点も計画中

社員 4月の業務停止時にゼロだった売上は、9月には前年同月比で9割程まで回復。アフターコロナ、Withコロナでも根強い需要があるらしく、むしろ昨今のECサイトなどを取り巻く環境を考えれば追い風とも言えるようだ。 「ネットショップ系の受注が多いです。某大手百貨店さんが全商品をネット販売するみたいな話もありました。9月30日からAmazonの出品ルールが厳しくなり、商品の白抜き画像しか掲載できなくなったので、『他のECサイトで出品していた商品をAmazonに出すためにまとめて白抜きしたい』といった依頼も増えています」  コロナ禍でサプライチェーンの見直しを迫られた企業や業界も多いが、致命的ダメージを受けて完全テレワーク化を果たした「切り抜きjp」も、拠点分散の必要性を感じているという。 「有力候補地としてはアフリカですね。ルワンダは真面目で人も穏やかで、コスト的にはインドよりさらに半分くらい安くなるという話もあるみたいで。コロナ前からリサーチ段階ですけど、インド以外の拠点は探していたので、もう少しコロナのことなどが落ち着いたら進めたいと思っています」 <取材・文/伊藤綾>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
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