恋愛・結婚

コロナ結婚した夫婦たち。明暗分かれた「その後」の生活

お互いに仕事がなくなって…

夫婦 神奈川県在住の電気工事業・鎌田優一さん(仮名・30代)も、今年4月に妻(20代)と入籍。当時、優一さんの仕事は往時の半分以下に減り、飲食店アルバイトだった妻は仕事を解雇された直後であった。 「2月ごろからお互いに仕事がなくなって、自宅でゴロゴロしてました。そうなると、ほら、やることもないし、子作りしちゃうんですよね(笑)。案の定、3月の終わりに妊娠が発覚して、お互いの親からは『こんな時期に』とメチャ怒られました」(鎌田さん、以下同)  そもそも二人に結婚するつもりもなかったが、子供ができたことをきっかけに結婚を前向きに……とはいかず。 「仕事もない、お金もない、親からも怒られていき場所もなく。一度は出産も結婚も諦め、二人で泣きました。でも、こんなに不幸な状況は、戦争でも起きない限り二度と起きないんじゃないかと思い直したんです。だから、妻と一緒になっても、あとは絶対良くしかならないと」  どうせお金はないのだからと開き直り、婚姻届だけ出してささやかなパーティすら行わず。そのまま二人暮らしを始めたが、徹底的な節約生活を実践し、1日の食費は500円。三食に加え、優一さんの弁当までまかなったというから大したもの。

「コロナのおかげです(笑)」

カップル 身重の妻は、外にほとんど出られないため、夫の助け、そして自身の手に職をつけようと、今まで触ったこともなかったパソコンの操作を覚え、経理の勉強も始めた。そうこうしているうちに夏が来て、優一さんの元に再び仕事が舞い込むようになった。 「丼勘定だった経費の計算も嫁がやってくれて、今まで以上に仕事がやりやすくなりましたね。実際、10月には部下を一人増やし、事業も拡大するつもりです」  結婚のきっかけとなった娘も無事誕生。今も1Kの古い借家住まいのままだが、節制はやめない。 「3月4月を思い出せば、今は天国。まずは目の前のことをやっていけば、いつかは必ず良くなる。結婚ですか? して良かったに決まってるじゃないですか。コロナのおかげです(笑)」  コロナが奪っていったものは多いが、コロナに教えられたことも少なくなかったと思う今日この頃。第三波の到来に「戦々恐々」とするだけでなく、こうした前向きさをぜひとも見習ってほしい。<取材・文/森原ドンタコス>
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