テレワークの意外な欠点「1日1000円の昼飯代が妻からカットされた」
新型コロナウイルスの感染拡大は、ついに「第三波」に突入した様子。一日あたりの感染者数は日々更新されつつある。首都圏、都市部のサラリーマンの多くが再び「テレワーク」体制への移行を余儀なくされている。春頃は「会社に行かなくてラク」とか「嫌な上司の顔を見なくて済む」などと喜ばれていたテレワークだが、「思わぬ欠点」も明らかになってきている。
東京都内在住の業界新聞社勤務・千田逸郎さん(仮名・40代)が肩を落とす。
「出社していた時と、時間外労働の多さはさほど変わりません。むしろWebを使ったミーティングのための準備や、マニュアルの作成などで以前よりやることが増えてしまったのです」(千田さん、以下同)
かつての千田さんといえば、9時始業にもかかわらず、ほとんど毎日7時頃には出社し、1~2時間の残業は当たり前。週末やプロジェクトの締め切り日前などは午前0時近くまで仕事をすることも珍しくなかった。
そして今年、4月中旬ごろから「テレワーク」体制に入ったというが……。
「最初は早出残業しなくて済むと喜びましたが『何時でもいいからやっといて』と上司から仕事が降ってくる。私が会社に残り、忙しそうにしていると振りづらい仕事も、リモートになるとかなり気軽に振られているようなのです」
当初はラクになると思っていた、ブラックからホワイトに変化する、などと淡い期待を持っていた人ほど、今は現実に打ちひしがれている様子が見て取れる。
横浜市内の社会福祉法人に契約社員として勤務する森野沙耶香さん(仮名・30代)もそんな一人。
「一昨年ごろから体の調子が悪く、仕事を休みがちだったので、自ら希望して正社員から契約社員になったのです。出勤した分だけしか給与は頂けませんが、後ろめたさを感じることなく療養できるようになったんです」(森野さん、以下同)
そんな森野さんを襲ったのが「コロナ」だった。病弱のため、一般の人々に比べればリスクがある。一方で、森野さんの仕事といえば全て事務作業。会社の上司は「在宅でいいよ」と声をかけてくれた。
「これぞ私が求める働き方だと思いましたよ。5月ごろから在宅勤務を開始し、最初の1か月ほどは本当に救われた気持ちでした。素晴らしい働き方だって」(森野さん)
ところが、森野さんの体調はやはり万全とはいかず、ある朝調子を崩し、布団から起き上がれなくなったのである。普段なら「体調不良」を上司に伝え、薬を飲んで寝るか、病院に行くか、というところだが……。
「在宅だから、病院に行かないなら仕事をしてね、無理のない程度で、と言われるんです。無理だから仕事を休みたい、と言っているのに、在宅だからやって、となる。無理のない範囲で、と言われても無理してやるしかない。以前に比べ、仕事を休むためのハードルが高くなった気がします。這ってでもパソコンの前に行かないと。本当に休みたい時は、救急車で運ばれるか意識を無くして倒れるしかないのかなって」
「何時でもいいからやっといて」と仕事が降ってくる
自宅にいるぶん、本当の「休み」がなくなった
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