ライフ

テレワークの意外な欠点「1日1000円の昼飯代が妻からカットされた」

“1日1000円”の昼飯代がストップ

悲劇「思わぬ欠点」といえば、サラリーマンにとっていちばん重要なあの「問題」も。福岡市在住の建設コンサルタント会社勤務・野中善彦さん(仮名・40代)が話す。 「月の小遣いはなんと1万円。同僚の三分の一以下です。それでも昼飯代は毎日1000円もらえていたため、500円の弁当を買って500円は貯めるとかして、月に何度かは飲みに行ったり、趣味のパソコンソフトを買うなどしていました」(野中さん、以下同)  野中さんは、妻と4人の子供の6人暮らし。35年フルローンで買った戸建てマイホームの支払い、家族全員で乗れるようにと中古で買ったワンボックスカーの支払いに追われ、同僚より自由にできる金は少なかった。だが、うまくやりくりをして人付き合いも欠かさなかった。  しかしコロナ禍以降、野中さんは完全リモートワークに。5月以降、出社したのは両手で数えるほど。その結果何が起きたかというと……。 「妻は仕事、子供たちは学校で、自宅には私一人。昼食は『自分でできるよね』と妻に言われて、頼みの綱だった“1日1000円”もストップ。自宅にあるものでなんとか済まそうとするのですが、大家族なので朝夜でみんな食べ尽くしちゃって、冷蔵庫は空っぽ。近くのホームセンターで一個80円で売っているカップ麺と子供たちの残した冷凍ご飯が、この半年ほどの昼食です。おかげさまで15キロの減量に成功しましたが、頬はこけ、病人のようです」  さらに節制を求める妻は、野中さんが毎日自宅にいることで爆上がりした光熱費にも注目。 「夏はクーラーを入れるな、と言われ、半裸で仕事をしていました。その結果、汗をかきすぎてやはり痩せましたね。冬場の暖房もダメ、ということで、会社で支給された避難グッズの毛布を体に巻いて過ごそうと思っています」

終業時間を迎える頃には泥酔

 テレワークの弊害というよりも、妻との関係改善が先ではないか、という指摘も聞こえてきそう。最後に「思わぬ欠点」を語ってくれたのは千葉県在住のアパレル会社勤務・斉藤義政さん(仮名・30代)。 「出社だったら絶対にやんないですよ、だからリモートは嫌だって言ったんです。リモートだったら、絶対やばい、我慢できないって、ちゃんと言ったんです。でも会社には来るなって、僕のせいですか?」(斉藤さん、以下同)  実は斉藤さん、無類の酒好き。酒での失敗は枚挙にいとまがなく、休日などはうがいよりも先に缶ビールを開けるほど。それでも仕事中は「飲まずに過ごせていた」というのであるが……。 「僕だって、いくらなんでも会社のデスクでは飲みませんけどね、自宅にいると、やっぱりね。気がついた時にはプシュッて。少しくらい酔っていても仕事はできるんですよ、ホント。そこで飲むのをやめりゃいいんですけど、どんどん飲んじゃうじゃないですか」  終業時間を迎える頃にはほぼ泥酔して寝ているという始末。  コロナ禍で会社の業績が落ち、給与はすでに三分の二に。社内全体が諦めムードだから、斉藤さんに苦言を呈する人もいないんだとか。 「テレワークだって最初は喜んだんですよ、会社に行かなくていいからラクだって。でも、世の中でテレワークが進むと外に出なくていいから、みんな洋服がいらなくなる。そのことに気がつくのが、遅すぎましたね」  斉藤さんにとっては、これも思わぬ「テレワークの欠点」だったようだ。<取材・文/森原ドンタコス>
1
2
おすすめ記事