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「町のケーキ屋に転職できない」コロナで苦境の高級ホテル…パティシエのプライド

パティシエも苦境

パティシエ 小沢さん以外にも、専門職としてホテルで働きながら給与の減収に頭を悩ませている人がいる。駒澤真一さん(仮名・40代)は、都内でも有数の老舗高級ホテルのパティシエだ。しかし、コロナウイルスの影響でウエディング需要もインバウンド客も激減している。 「僕は館内にあるラウンジやパティスリーのスイーツを手掛けています。宿泊客以外にも、観光客やホテル内の宴会場を使った企業の懇親会、発表会などもすべて中止になったため、利用者自体が減っています。ホテルの顔ともいえるメインラウンジも、利用者が減りました」  まさに、ハレの日を飾る華やかな場所にふさわしい料理やスイーツを提供していた小沢さん。しかし、感染予防のため密を避けなければならない現況では、苦境を強いられている。

有名ホテルのパティシエのプライド。「町のケーキ屋に転職できない」

「コロナ以降、手当などがなくなった分、給与が減給されています。でももし、希望退職を募ることがあってもホテルに残り続けるのが良いかな、と考えています。パティシエは専門職ですが、今は飲食店全体が不況のため転職もできませんし、僕のような経歴だと、町のケーキ屋で働くという訳もいかないですしね」    カメラマンもパティシエも、どちらも技術を身に着けるのに年数が掛かる職業だ。しかし、業界全体が先の見通しが立たないため、転職先が見つかりづらいという。コロナ禍以降もそういった職業が続けられるような、支援策も必要なのかもしれない。<取材・文/阿佐ヶ谷蘭子>
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