仕事

コロナに便乗した不当解雇が横行している。ユニオン交渉員の証言

中年会社員を襲う“退職勧奨”対策

解雇「内定取り消しもかなりの件数を受けていますが、基本的には解雇と同じで、まず内定が法的に認められる証拠が必要です。具体的には給与や勤務場所、勤務時間、出社日など基本的な条件が記載された労働条件通知書や雇用契約書といった書面、そうした内容がわかる会話の録音データなどですね。結局、会社さんに『解雇していない』『内定を出していない』などと言わせないことが、交渉を進めるためのスタート地点になります」  トラブルに発展しそうな会社との重要なやりとりは全て書面や録音、メールなどで押さえておくことが鉄則。残業代未払いの問題でも具体的に会社から業務の指示があったのかがポイントになる。 「メールでもビジネスチャットでも、まずは残業の申請や報告をして会社側が残業を認知したことを裏付ける必要があります。残業代未払いは職種によってはサービス残業が長年の慣習になっていて、そもそも何が問題なのか把握されていないこと、当たり前だと思い込んでいる点も根本的な問題です」  コロナ禍が長期化することで、会社側も労働者側も経営状況が悪化し、便乗解雇が容認される空気が醸成されることを懸念する竹永氏。

安易に同意しないことが大切

 中年会社員のケースでは新しく若い社員が入ったことを理由に退職勧奨が行われるケースも増えていると紹介した。 「退職勧奨はあくまで打診なので、それ自体に法的な問題はありませんが、これに関しては安易に同意しないことが大切です。拘束されて無理やり書かされた、記入したら退職金が増額されると騙されて同意したなど、よほどの理由や証拠がない限り法的に取り消すことができず、自主退職になってしまいます。『いますぐ書いてください』と言われても、大前提として会社からそうした書類が提示されたら、労働組合や知り合いに相談すると言って、その場では記入しないようにしましょう」  従業員の地位を奪う解雇や雇い止めがいかに難しいことか、会社にも従業員にもいま一度広く認知させていくことが大切なようだ。<取材・文/伊藤綾、取材協力/みんなのユニオン>
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
1
2
おすすめ記事