エンタメ

茂木健一郎の「日本のお笑い批判」は的外れ。4年前も炎上したのに

4年前のツイートにも疑問


 炎上した4年前の茂木健一郎のツイートで、最初に疑問に思った事は、いまどき「権力者の批評」で笑いが取れるか? ということだった。そのコメディアンって誰? 権力批判と言うと、過激なことのような印象を与えるが、その逆だ。そんなコメディー、「マジメか!」である。王様の耳はロバの耳じゃないんだから。  今回の「ぼくは、前は松本人志さんに謝ったけれども、今回は謝らない」というブログ投稿にも違和感を感じた箇所が2つあった。「もちろん社会ネタ、バンバンで」と「『オフィス』のアメリカ版の吹き替えを日本のお笑い芸人さんがやって地上波で放送するところから始めたらどうか」  と言う部分だ。なぜ「権力者の批評」が「社会ネタ」に変わってしまった? どうして元祖の『オフィス』イギリス版でなくアメリカ版?  イギリスのコメディーに権力批判などほとんど登場しない。特に現在は、『ボラット』のカザフスタン人の扱いを見てもわかるように、むしろ弱者に対する差別で笑う方が多い。茂木健一郎はそのことを知っているから「社会ネタ」と、こっそり言い換えたのだろう。  コメディードラマ『The Office』は、元祖のイギリス版では、ひどいセクハラ発言が連発されるが、アメリカ版では全面的に削られている。イギリス版を推したら、あたかもコメディーが社会正義のためにあるかのように語った4年前のツイートと著しく整合性を欠いてしまう。だから、アメリカ版を推したのだろう。非常に姑息に思える。

再び「日本のお笑い批判」をした目的は……

 この姑息さと、逆立ちした論理、結論に綺麗事を並べることで、何かを主張しているように見えるが、よくよく読んでみると何が言いたいのかわからない文章を見ると、茂木健一郎の今回のブログ投稿は、「はじめに松本人志に絡むことありき」で書かれているように思えてくる。  4年前のツイートによって、茂木健一郎は「ワイドナショー」や「しくじり先生」に呼んでもらえたが、今回はどうだろう? コメディーで同じネタは2度通用しないと思うけれど。
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
1
2
3
おすすめ記事