聖火ランナー辞退の芸能人にモヤっとする 逆にノリノリのロッチ中岡は清々しい
文/椎名基樹
ロンドンブーツ1号2号の田村淳が、聖火ランナーを辞退した。森喜朗の「何が何でも東京オリンピックを開催する」と言う発言が理解不能であり、また「聖火ランナーを務めるタレントは密状態を避けるために、田んぼの中を走ればいい」という趣旨の発言に対して、インフルエンサーとして聖火ランナーを務めるタレントの意味がないと感じたというのが、辞退の理由である。
この淳の行動を口火に、五木ひろし、斉藤工、常盤貴子、玉城ティナらが、次々と聖火ランナー辞退の意思を表明した。その理由は皆一様に「スケジュールの都合がつかない」からであった。聖火リレーは3月の25日から始まり、淳が辞退の意思を表明したのが2月3日で、この期間の短さを鑑みると、「スケジュールの都合がつかない」と言う理由は「大人の対応」であり、実際は東京オリンピックに対する歓迎ムードが高まらない中で、聖火ランナーをすることにリスクを感じたために、急いで辞退を表明したようにの思えてくる。
タレントの聖火ランナー辞退は、東京五輪開催の機運を著しくそぐものであり、もともと五輪を盛り上げるためにその役を引き受けたはずのタレントが、メリットがないからと言って辞退することは、なんだか虫のいい話にも思える。特に「スケジュールの都合がつかない」と言う「大人の対応」には、どこか誠意が欠ける印象を受けた。
コロナ下のような緊急事態にさらされた社会では、経済を優先するか、感染予防を優先するかに代表されるように、二者択一を迫るイシューが浮かび上がる。今回の田村淳の行動も、芸能界に波紋を呼んだ。そしてそれは、東京オリンピックを開催するか否かと言う二者択一の命題となった。田村淳も自分の行動がその命題に変わることを充分意識していただろう。
聖火ランナー辞退を表明したYouTube動画の中で、自らは東京オリンピックの開催には前向きな気持ちであるが、延期派であると強調していたことからもその事がうかがえる。ただ田村淳は、東京オリンピックの開催は12年後でもいいと語っている。ずいぶん無責任な言い分だ。森喜朗が今年の東京オリンピック開催を望むのは、経済的損失を懸念したからだろう。さらに、延期した場合どこかで開催できる保証はない。そうした現実問題を無視しての延期論は、自分は東京オリンピック開催の足を引っ張っているわけではないとエクスキューズするためのまやかしの論理に思える。
なんか釈然としない芸能人の聖火ランナー辞退
芸能界に波紋を呼んだ田村淳の決断
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1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
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