有吉弘行、夏目三久の結婚に見た「有吉の腹のくくり方」を見習いたい
文/椎名基樹
――集中力、それは腹を決めることが肝心である。
小林まことの漫画「柔道部物語」の言葉であるが、私は常々これは有吉弘行にぴったりの言葉だと思っていた。「集中力」の部分を「意志」と言い換えた方がよりわかりやすいかもしれない。集中力の継続が「意志」である(そーいえば有吉は再ブレイクを果たす前、テレビ番組の企画で、芸能人柔道王に君臨していたな。若い人はもう知らないだろう)。
感情の起伏を見せず、まるで任務の遂行だけに集中するヒットマンのような、有吉弘行の仕事ぶりを見ると、その腹のくくり方に、どこか圧倒されるような気持ちになる。
東野幸治は有吉弘行をこう評する。「もう完全に天下とったんじゃないですか? そんな感じしますよ。ただ、一回『電波少年』でスターになって仕事なくなったっていう暗い過去があるから。偉そうに絶対にしないですよね。仕事なくなって、『アメトーーク!』でイヤなニックネームつけて、イヤなことばっかり言って這い上がって来た時は、ギラギラしていましたけど。今はもう、一番上のステージに立ってしまったから。これ以上、上ないから、降りないように粛々とやってる感じですよね」。(東野幸治YouTubeチャンネル2021/01/13更新回より)
有吉弘行は、最初のブレイクの後仕事を失った時、外を歩くとみんなが自分を笑っているような気がしたと言う。自殺も考えたらしい。現在の泰然として、強い自己顕示欲もあまり感じない彼が、そこまで考えるものかと驚いてしまう。しかし、一度、有名になってしまった人が落ちぶれた姿を見せると言う事は、経験した人じゃなければわからない、大きな苦痛があるらしい。
5年前「夏目三久は妊娠中で、結婚は確実」と報道された。それに対して有吉はTwitterで「これを狐につままれたような気分というのか。。。」とコメントして、いつの間にかそのニュースは誤報として消えてしまった。正直に言って、芸能ニュースでこれほど不可解で、空恐ろしい気持ちになった報道もなかった。
有吉の仕事ぶりは、一度売れて落ちぶれたからこそ
最初の報道から5年、「粛々と」仕事に打ち込めたことがすごい
今回の結婚報道で、やはり2人が恋愛関係であったことがわかった。5年前は何らかの理由があって結婚できなかったのだ。有吉弘行と夏目三久はどれだけのものを「腹に収めた」のだろう。どれだけ強い精神力があれば、5年間「粛々と」仕事に打ち込むことができるのだろう。彼らの仕事と恋愛、つまり人生に対する真剣な態度に畏怖の念すら覚える。それにしても芸能人は大変だ。これを狐につままれたような気分というのか。。。
— 有吉弘行 (@ariyoshihiroiki) August 24, 2016
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1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
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