仕事

コロナ禍で雇い止めに遭ったパチンコ店員、現在は手取り16万円のフリーター

非正規雇用で働いた経験しかなくコンプレックスに

職務経歴書 しかし、青柳さんは地元の高校を卒業後、専門学校に進学するもすぐに中退。それからはずっとフリーターを続けていたため、パチンコホールも含めて正社員で働いた経験は一度もない。もっと若いころはあまりに気にしなかったが、次第に負い目を感じるようになったという。 「今もバイトだし、高校を出てから6年以上も非正規雇用なんです。コロナの影響でしょうけど、最近はバイトですら簡単に採用されなくなってます。当然、正社員はもっと厳しいですし、もし自分が企業の採用担当ならずっと非正規で働いているヤツを積極的に雇おうとはしないですよ。そう思ったらどんな仕事でも正社員として働くべきだったなって。パチンコホールには正社員登用制度があったからそこに期待して頑張ろうと思っていたんですけど……」  もともとパチンコ業界に非正規雇用から正社員に採用される人が多く、そういう意味では雇用弱者の受け皿になっていたのは間違いない。全国のパチンコホールの9割が加盟する全日本遊技事業協同組合連合会によると、2020年に閉店したのは612店舗。その流れは今年も収まる気配がない。 「実は、雇い止めになったホールも今年に入って潰れてしまいました。もし更新されていても途中で失業することは避けられなかったですし、そう思うとその前に雇い止めになってよかったのかも。どっちにしても最悪の状況なわけだし、だったら少しでも前向きに考えるしかないですから(苦笑)」

なんとか生活できるなら今のままでも……という気持ちも

 ただし、特にやりたい仕事もなければ、この業界で働きたいというのもない。今はバイトの身だが週5日フルタイムで勤務しており、月収は手取りで約16万円。贅沢は無理だが、なんとか生活を維持をできるだけの収入はある。  そのため、現状に対する不満や将来への不安はあっても「このままでも構わない」と思ってしまうそうだ。 「逃げなのかもしれませんが、貧乏なりに生活できるなら非正規雇用のままでもいいんじゃないかという気持ちがないといえばウソになります。ひと昔前みたいに終身雇用がある程度約束されている時代ならともかく、今なんてそんな保障全然ないじゃないですか。そう思うと、正社員を目指すべきなのかもわからなくなっちゃって」  雇い止めになったことでやさぐれてしまった印象も否めないが、彼が置かれた状況であればそう考えてしまうのも仕方がない。  いろんろな働き方があるのは事実だが、非正規雇用の期間が長引けば正社員として働くのはますます難しくなる。このまま今の状態をズルズルと続けて後悔するような事態にならなければいいが……。<取材・文/トシタカマサ>
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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