エンタメ

テレビは死ぬのか?「ハイパーハードボイルドグルメリポート」騒動に見る危機感

テレビ局、出版社、旧メディアの危機感

 最近テレビってなんだろうと考える。テレビとはもちろん地上波のことだ。ただネットメディアのコンテンツにも、テレビタレントが進出し、テレビの裏方が制作している。テレビ界で培われたノウハウは脈々と受け継がれ拡散している。上出遼平は記事の最後で「我々は既得権益に浴した結果、番組制作技術を失った」と言う意味のことを書いている。しかしその「我々」がテレビ局やテレビ局員を指すのならば、我々視聴者にとってはどうでもいいことのように思える。「テレビ局の死」が「テレビの死」ではない。  しかし、テレビ局が持つ危機感は、あの記事から生々しく伝わった。地上波の優位性はやはり無料であることだ。しかしテレビを持っていればNHKの受信料の2000円あまりは必ず取られる。スマホのギガ使い放題プランは現在5000円余りだろうか。それはもっと安くなるかもしれない。この先、若者がテレビを捨ててしまう可能性は高いのかもしれない。テレビ局も出版社も旧メディアはネットとの関わりを模索し続けなければならない

音声コンテンツは突破口になるのか?

 上出遼平の音声コンテンツのアイディアを群像で読んだ時、画期的だと思ったと同時に「これって活字メディアの方が向いてないか?」とも思った。ドキュメンタリー監督の森達也は映像化できなかった取材を書籍として発表している。
書籍「ハイパーハードボイルドグルメリポート」

「ハイパーハードボイルドグルメリポート」は書籍化もされている( 朝日新聞出版)

 今回「ハイパーハードボイルドグルメリポート no vision」を聴いて、正直音声のみの利点を感じることができなかった。ただまだ初回なので、これから回が進むにつれて、その魅力がわかってくるのかもしれない。しかし、どうしてもやっぱり取材対象の顔が見たくなってしまう。物腰柔らかに話す右翼の人は、どんな顔をしているのだろう?  この音声コンテンツは「顔」のある人、つまり有名人が主役の方が合っているんじゃないかと思ってしまった。有名人の「音声評伝」くらいの軽いコンテンツを独自のプラットフォームで配信できたら、この企画はもっと大きな反響を呼んでいたような気もする。  そこで私はひらめいた。私は現在月に1回、雑誌「KAMINOGE」(玄文社)で往年のプロレスラーにインタビューをさせてもらっている。この音声データーは、もちろん日の目を見る事は無い。これってもったいなくない? 編集して音声コンテンツとして配信したらどうだろう? どうでしょう編集長?
1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina
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