夏ボーナス、副店長なのに「私だけ」支給されなかった事情
例年であれば、今頃は夏のボーナス時季で楽しみにしている人も多かった。しかし、新型コロナウイルスの影響は大きい。2021年は、会社の業績不振にともないボーナスが支給されるのかどうか不安になっている人もいるはずだ。
大学時代からアルバイトで在籍していた会社で、そのまま社員登録という流れになり、店舗の副店長として働くことになった神楽まりこさん(仮名・20代)。
「社員登録する際、『正社員と業務委託があるけど、業務委託でいいよね? みんなそうだし』と言われて。そのときは何も考えておらず、業務委託として働くことになりました」
この時の選択が、3年後の後悔へとつながってしまったという神楽さん。年齢も若かったため、業界的にボーナスの概念がないものだと、なぜか信じて疑わなかったそうだ。
「仕事はシフト制の月6日休みで、私の配属された店舗では昼から深夜までという勤務時間でした。また、年に1度だけ社員旅行もあったんです」
しかし、その社員旅行の費用は自腹。手痛い出費だったという。そんな中、各店舗の店長クラスが集まる会議で神楽さんは凍りついた……。ボーナスに関する裏事情を知ってしまったのだ。
「他店舗の人が、『今年のボーナスは厚いから社員旅行も豪華にしましょうよ』と話していました。私は業務量も多く役職手当をもらっていたので、何となく他の社員と給与の話はタブー視していたのですが、私は副店長なのにボーナスはありません。勇気を出して雇用形態について確認してみることにしたんです」
そこで、「神楽さんがアルバイト上がりでまさか副店長になるなんて思わなかった」と告げられた。そして、基本的に「副店長と店長はみんな正社員だよ。社員になる時に形態を聞かれたよね?」と念押しされたという。
「副店長になった時点で教えてくれてもいいですよね。何となく騙された気持ちになりました」
今までは「自分には関係ないもの」と思い込んでいたボーナスが、実は「自分は雇用形態の仕組みを知らずに受け取れていなかったもの」だったのだ。
たとえば、全日本空輸(ANA)は、2021年度の夏と冬のボーナスをともに見送ることで労働組合と合意した。ボーナスが支給されないのは、記録が残る1962年以降初めてだという。非正規雇用者や正社員を問わず、あらゆる理由でボーナスを諦めなければならない人たちがいる。
副店長なのに「私だけ」支給されなかった事情
ほかの副店長と店長はみんな正社員だった
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ