「今思えば上司のことは明かさないにしても、『彼女はいる』とだも答えればよかったんです。でも、その時の僕は『彼女はいない』と答えていました。そうしたら、後輩に『だったら付き合ってください』と言われました。最初のうちはうやむやにしようと思ったんですが……。 　だんだんと後輩は思い詰めた顔をするようになってきたんです。誰かに相談でもされて関係を持ったことが噂になると、ヤバいと思って、交際を受け入れることにしました」 　すべては後輩との関係が、上司にバレないようにするためにしたことだったそうですが……。 「後輩には、交際のことは絶対に社内の人間には他言しないように言っていて、彼女もそれを守っていました。が、なぜか同僚から『後輩と付き合ってるだろ？』と言われるようになったんです」 　交際がバレてしまった理由は……。 「SNSでした。彼女はSNSを使い倒すタイプだったんですが、僕の腕時計や仕事用の皮靴なんかが写った写真をSNSにあげたりして、僕の存在を匂わせるような投稿を行っていたんです。すぐに後輩に『やめろって言っただろ！』と怒りましたが、『別にしゃべったわけじゃないし』と開き直られまして……」 　その情報は、当然ながら交際している上司の耳にも入ることになってしまいます。 「上司のほうが好きでしたし、後輩との関係については経緯も全部正直に話しました。でも、何を言ってものれんに腕押しで、冷静に別れを告げられました」