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ドリフは「痛みを伴う笑い」か? 「ドリフに大挑戦スペシャル」が面白かったワケ

文/椎名基樹

予想外に斬新だった「ドリフに大挑戦スペシャル」

 加藤茶高木ブー仲本工事の3人が久しぶりに揃って出演した「ドリフに大挑戦スペシャル」(フジテレビ系列)が、予想外に面白かった。「予想外に」などと書いたら失礼である。しかし、昔のドリフのコントを現在のテレビの第一線で活躍する芸人たちが再現すると言う番組コンセプトを考えたら、過去を懐かしむような内容になるのかと想像してしまった。
 しかしドリフのコントは単純明快で、子供がいつの時代も「うんこ・ちんこ」で笑うように、今の時代に再現しても、昔と変わることなく笑えた。逆に新鮮に感じたくらいだ。  さらに番組の演出が斬新だった。古いドリフの映像と、現在の芸人たちのコントが、いわばリミックスされている構成がしゃれている。例えば昔の映像で、いかりや長介が「もしも〇〇な〇〇がいたら」などとコントの前フリをすると、現在の芸人たちが演じたコントが流れる。  これって、横尾忠則が「自分のアイディアが盗用された」と訴えて騒ぎになった『男はつらいよ お帰り 寅さん』と同じ手法だ。もし横尾忠則に気づかれてしまったら、今度は、ドリフの番組スタッフが糾弾されるかもしれない。今後の事態の推移を見守りたい。

「痛みを伴うバラエティー番組」を審議するって言うけど……

 今回放送されたコントのほとんどが「体を張った笑い」だった。BPO「痛みを伴うことを笑いにするバラエティー番組」を審議しているというニュースが流れ、それに伴って年末の「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!絶対に笑ってはいけないシリーズ」(日本テレビ系)が休止になったなどと噂になる中、ある意味タイムリーな放送である。 ※編集部注:日本テレビは9月27日、杉山美邦社長の定例会見でBPO審議とは「まったく関係ない」と否定した  近頃ではこの「体を張った笑い」が世間から蛇蝎(だかつ)の如く嫌われていて、さらに芸人からも「誰も傷つけないお笑い」なんて言葉が聞こえてくる。しかし、リビングレジェンドのドリフの3人と、彼らに敬意を持った芸人たちが、「体を張った」コントのVTRを眺める姿は、非常に雰囲気の良い空間が出来上がっていて、なんだか高尚にすら感じられた。伝統が受け継がれていく瞬間だ。
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「体を張った笑い」が面白いワケ
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