郊外のガールズバーがコロナ禍で悟ったこと「私たちの仕事は要らない仕事ではない」
新型コロナウイルスの感染拡大防止で度重なる時短営業・休業要請を受け、夜の街が疲弊している。特に人と人との接客を主とする水商売への風当たりは強い。が、そこで働く人たちそれぞれにリアルな生活があり、逆風のなかでも明るく前向きに、人、仕事と向き合っている。
クラブ、キャバクラ、ガールズバー、スナック…業態は数あれど、そこで働く女性たちは、この時世にどう試行錯誤しながら仕事と向き合っているのか。夜の街で働く女性を対象にしたミスコン「ナイトクイーングランプリ」に出場する女性たちの仕事術から、逆境を生き抜くヒントを見つけていきたい。
──ガールズバーが定食屋に! すさまじい豹変ぶりですね。
ことり:営業の方法だって180度変わりました。昼前に「今日のランチはこの2種類です」って写真を送るんですよ。いきなり夜の蝶が昼の日光に晒されたものだから、「まぶしいッ!」って最初はオロオロしちゃって(笑)。ボーイさんは見たこともないような大きな炊飯器でお米を炊いているし、私たちも単にランチを出すだけじゃ能がないから「新規のお客さんにアピールするため、コスプレをさせてください!」ってママに提案して…。時給も半分になっちゃったけど、もうなりふり構っていられなかったし、とにかくやれることは全部やろうと一丸になって戦っていました。
さくら:その後も試行錯誤は続いて、「17時から20時まで営業」という形態を取っていた時期もあったんです。だけど実際の話、うちみたいなお店って20時を過ぎたあたりからようやくお客さんが増え始めるんですよ。18時からお店に来るのって、普通にお仕事されている方だと難しいですよね。
府中・ガールズバー「mieu」さくらさん、ことりさん 「やれることは全部やろう」とスタッフ一丸で戦い抜いた日々
【画像をすべて見る】⇒画像をタップすると次の画像が見られます 免許センターと東京競馬場の印象が際立つベッドダウン・府中にあって、多くの地元民から愛される「ガールズバーmieu」。家庭的な雰囲気が最大の特徴となっており、忘年会ではお客さんも含めてお店で鍋をつつく習わしもあるという。だが、コロナの猛威は容赦なく「mieu」関係者から笑顔を奪う。さくらさんとことりさんの2人は「前代未聞のことだから、すべてが手探りだった」と苦渋の表情で当時のことを語り始めた。 ──同業者の多くが休業を余儀なくされる中、「mieu」はコロナ禍でも踏ん張って営業していたようですね。 さくら:うちは(兼業ではなく)お店専門で働いている子が多いので、オープンさせないとその子たちの生活が立ち行かなくなってしまうんです。 ことり:最初の緊急事態宣言が出てからは、実家に帰ることも難しくなりましたし。私は福岡出身で、さくらちゃんは新潟なんですけど、東京の飲み屋で働いているなんて地元で知られたら、それこそ石を投げられる勢いで非難されたんじゃないかな。 さくら:そういった状況を見かねたママが、「なんとしてでもこの子たちを守る!」と一念発起してくれたんです。とはいえ夜の時間帯に開くことはできなかったし、お酒も出せなかったので、営業形態を根本から変えるしかなくて…。系列店の子たちも一堂に会し、カフェというか定食屋みたいなスタイルでやっていましたね。毎日ランチを2種類用意して、私たちがそれを提供するんです。1日3組とかの日もザラだった…
出版社勤務を経て、フリーのライター/編集者に。エンタメ誌、週刊誌、女性誌、各種Web媒体などで執筆をおこなう。芸能を中心に、貧困や社会問題などの取材も得意としている。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)、『アイドルに捧げた青春 アップアップガールズ(仮)の真実』(竹書房)。
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府中「ガールズバーmieu」
住:東京都府中市宮町1-11-1-2F
営:20時~25時 料:60分3000円~ 休:日
住:東京都府中市宮町1-11-1-2F
営:20時~25時 料:60分3000円~ 休:日
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