おみくじの原価は1.5円 だが、丸儲けとはいかない!?
デフレで物がどんどん安くなるなか、気になるのは企業が儲かっているのかどうか。実際、多くの企業が業績悪化で苦しんでいるものの、激安商品をウリにした企業には業績好調なところも。そこで今回は激安衣料や飲食店の食べ&飲み放題、さらに神頼みグッズまで、さまざまな商品の原価を調べ、儲かるカラクリに迫った!
【神頼みグッズ】
おみくじの原価は1.5円 だが、丸儲けとはいかない!?
◆お守り
定価 700円
原価 150円
神社仏閣はどのくらい儲けているのか。今回はお守りなどを神社仏閣に卸している業者から神頼みグッズの原価を聞くことができた。
「お守りの場合、安いもので50円、一般的なもので150~200円、自動車のフロントガラスなどにつける吸盤付きのもので300円くらいで卸しています。神社や寺の名前を入れるなら初回に版代が100体で3000円くらいかかります。それと、お守りの中に入れる『内符』は別売りで1体10円程度ですから、一般的なものだとすべての費用を含めても170~220円前後。それを300~700円くらいで販売していますから、1つ売れれば100~500円くらいの利益ですね」
販売価格はそれぞれの神社仏閣で異なるようだが「縁起をかつぐ商品なので、基本的には奇数が多い。700円だと高いかなと思えば500円、安いかなと思えば800円という感じですね。あ、『8』は偶数ですが末広がりだから大丈夫」と言う。
多くの神社仏閣では復数の卸業者から仕入れ、正月前には「早期割引」を実施する業者もあるようだ。
◆おみくじ
定価 100円
原価 1.5円
では、もう一つの売れ筋商品、おみじくはいくらなのか?
「安いもので1000枚1500円、一般的なもので1000枚3000~4000円、縁起物の人形が入ったものなど1000枚で2万円以上するものもあります」
なんと1枚の原価は1.5円! よく100円を入れて購入する「おみくじ販売機」があるが、100人中、タダで取る罰当たりな人が98人いても利益が出るんだから問題ないのだ。
「ほかにも、原価200円前後の絵馬を500~700円、原価2000~5000円程度の全長80cmの熊手を数万円で販売していたり、総じて利益率は高めですね。でも、実際には参拝客はもちろん、祈祷や葬儀の依頼が少ない神社仏閣も多いようで、丸儲けってわけにはいかないところも多いみたいですよ」
それこそ神頼みで何とかすれば?
●原価を知り尽くす達人●
【坂口孝則氏】
調達業務研究家 メーカーの調達部門を経て独立。現在、調達購売マネジメント取締役。近著に『激安なのに丸儲けできる価格のカラクリ』(徳間書店)
【金子哲雄氏】
流通ジャーナリスト兼プライスアナリスト。モットーは「清く貧しくゴージャスに」。など著書多数
― 知って得する[原価のカラクリ]大調査【8】 ―
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